読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

個性を自立力にするために興味を広げるべし

個性を自立力にするための子育てや教育のやり方について発信しています。発達障害の成人向けの話題も発信してます。クエストスクール代表荒川の個人ブログ

スポンサーリンク


・【随時更新】これまでに読んできた子育てや発達障害の周辺の本20冊以上
・子どもと一緒に見たいアクション成分高めのオススメ映画10作品以上(対象年齢別。ときどき更新)

自閉症を能力として使う動物学者:テンプル・グランディン②

伝記 社会 道徳 保健体育 理科

スポンサーリンク

自閉症の動物学者のテンプル・グランディンは自閉症特有の能力を使って、動物にストレスをかけない設計をアメリカとカナダの牧場50%に普及させたことで有名です。彼女は発達障害の特性が世界には必要だと言います。前回の、どのようにテンプル・グランディンが育てられてきたのかの話の続きです。

今回は↓の記事の続きです。

 発達障害のある実在の動物学者:テンプル・グランディン①

 

「世界はあらゆる頭脳を必要としている」

====

 

▼映像で考えて、牧場を設計する

テンプルは「映像で考える」ということを大変得意としています。本人に言わせると、「頭の中で動画を再生しているようなもので、同じ箇所を何度も同じように再生できる」というのです。
そして彼女は人間の気持ちがまったくわからない代わりに、動物が何を喜び何を怖がるのかが手に取るようにわかるという能力を持っていました。そんな彼女が頭の中で繰り返し再生したのは、牧場のウシの動きでした。そしてウシの動きを何度も何度もシミュレーションして、ウシが怖がらないで生活していられるような牧場を設計をしたのです。
ウシが怖がらない設計にすることによって、パニックを起こして事故死したりケガをするウシが激減することになりました。ウシがパニックを起こして死んでしまったりケガをすると、それだけ肉の生産が減るわけですから牧場の経営を悪化させる要因になります。このような理由で、テンプルが設計した牧場はウシにとっても牧場経営にとっても良い結果をもたらしたのです。
 
 

▼動物愛護としてのテンプル・グランディンの牧場

テンプルによる牧場設計は、動物の福祉という観点からもとても大切なことだと言えます。家畜というのは人間が自分たちの都合で誕生させ、自分たちの都合で殺していく命です。そして家畜なしでは人類は生きていけません。彼らの犠牲の上に、ぼくたちの安心で安全な生活が成り立っているのです。そのような動物に対する彼女なりの敬意の表し方が、「苦痛を与えないシステム」でした。
 
「もっと生きていたいだろうに。だけどそうしてあげられなくてごめんね。せめて、あなたたちが苦しまないですむようにするから」
 
そういうメッセージが込められているのが彼女が考案したシステムです。このシステムはコストと動物愛護の観点から高く評価され、アメリカとカナダの約半分の牧場で採用されています。
このように、テンプルは「映像で考える」ことと「動物の心を理解する」という2つの特殊な能力を組み合わせて、北米の牧場のシステムを劇的に変えてしまいました。これは自閉症の彼女に備わった特殊な能力がなければ絶対に成し遂げられなかったことです。「空気が読めない」ことの本質は「目の付け所が違う」ということです。人とは異なる視点を有効に活用するとどうなるのかという一例です。
 

▼思考方法の4タイプ:VARKシステム

学習の4タイプについて触れます。多くの人は自分でも気付かないうちに思考方法を使い分けています。ですが人によってはどれかが極端に得意だったり、逆に苦手だったりすることがあります。あなたも、自分が何かを考えるときにどれを使うことが多いか振り返ってみましょう。次のような4種類に分ける考え方をVARKシステムといいます。
 

①映像タイプ:

ものごとを画像や映像で考えるタイプです。テンプルはこれが大変得意でした。映像で考える勉強の仕方には、何かを観察したり、ドキュメンタリーを見たり、マンがを読むというやり方があるでしょう。映像で考えるのが得意な人に色々なテーマに触れるためには、映画やマンガなどの素材が適しています。
 
 

②音声タイプ:

話をしたり話を聞くことで学ぶのが得意なタイプです。考えるときにも音声で考えます。このタイプが得意な人は学校の授業についていきやすいかもしれません。学校の授業は先生が話すことが多いからです。
逆にこれが極端に不得意だと学校での授業が辛いものになりやすいでしょう。発達障害のある人は音声を聞き取って行う学習が苦手なことが多いようです。ですが、他の3つのタイプで学習を補うことは可能です。勉強の仕方というのは「学校で話を聞く」以外にもたくさんありますから、自分に適したやり方で補いましょう。
 
 

③文字タイプ:

文字を読んだり書いたりして考えるのが得意なのがこのタイプです。考えるときも文字が頭に浮かんでいることが多いでしょう。文字が得意なので学校の授業にもついていきやすいでしょう。
逆にこれが極端に不得意なのが学習障害と呼ばれるものです。読み書きが不得意なのですから学校の勉強は苦痛なものになってしまいがちになります。なので大人は、その子がどんなことなら得意なのかを調べて「自分には得意なこともあるんだ」という感覚を持たせてあげることがとても大切になります。他の3つの思考方法を効果的に使って、文字による学習の苦手さを補えるようにしてください。
 
 

④操作タイプ:

道具を扱ったり身体を動かしたりするのが得意なタイプです。考えるときも体の動きを頭の中で再現して考えることがあるかもしれません。「身体で覚える」と言われるような学習スタイルです。
これが強いと、ものを作ったり、体を動かして働くことがうまくできます。仕事の現場で力を発揮する、実践に強いタイプと言えるかもしれません。
 
 

▼世界はあらゆる頭脳を必要としている

学校の勉強は、文字や音声で学ぶのが得意な人や、4タイプのバランスがいい人には有利でしょう。しかし、文字や音声での思考が得意でない人もいます。文字や音声が得意でない人に覚えておいてもらいたいのは、学校での勉強のやり方や学校での成績が世界のすべてではないということです。
 
学校の勉強が不得意だという人の困った状態を例えるならば、相撲の力士が100メートル走で勝負させられているようなものだと言えるでしょう。100メートル走だけしかない世界であればずっと劣等感を持ち続けるしかありません。ですが、世界には別の土俵もあるのです。自分の土俵を見つけてそこで戦うということもできるのです。
 
「世界はあらゆる頭脳を必要としている」
 
これがテンプル・グランディンからのメッセージです。短所だと考えていたものが見ようによっては長所だと考えることもできます。ぼくの子どもや、その孫の世代の人類が生存していくためには、もっとたくさんの頭脳が必要です。
※自閉症スペクトラム障害(ASD)には似ている表現が多数あります。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などがあります。
 
この記事があなたの役にたったらFacebookでフォローするかいいね!などのボタンのクリックをお願いします。