個性を自立力にするために興味を広げるべし

個性を自立力にするための子育てや教育のやり方について発信しています。発達障害の成人向けの話題も発信してます。クエストスクール代表荒川の個人ブログ

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モンスターと呼ばれる人々に共感的理解ができるようになる本:スキーマ療法

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クレーマーやモンスターと呼ばれる人たちは、なぜそのようになったのか?がんばれない人、うつの人の心の中がどうなっているのか?そういう疑問を持ったことのある全ての人に役立つ本の紹介です。

 本書は専門書で7000円位しますし、500ページもあります。ですが、人間のあらゆる行動についての理解を深めることができます。心理職に携わる人は必読だと本気で思います。 

スキーマ療法―パーソナリティの問題に対する統合的認知行動療法アプローチ

スキーマ療法―パーソナリティの問題に対する統合的認知行動療法アプローチ

  • 作者: ジェフリー・E.ヤング,マジョリエ・E.ウェイシャー,ジャネット・S.クロスコ,伊藤絵美
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2008/09/27
  • メディア: 単行本
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 ▼こんな人にオススメ

・心理学を専攻している学生全員

・人間理解に興味がある人

・臨床心理士や精神科医

 

  

 

▼スキーマ療法って?

スキーマ療法は認知行動療法という、日本でもうつ病に使われることがあるカウンセリング技法のパワーアップしたものだと考えてください。思考を整理するためのツールが色々と含まれているので、人に何かを説明したり考えを引き出すのがうまくなったという実感が個人的にはあります。

 

 

▼スキーマって何?

スキーマという言葉があります。日本語にすると中核信念と言います。ものすごく根本的で本質的な思い込み、と思っておいてください。

 

スキーマというのはYSQという名前の質問紙に書いてある質問ひとつひとつのことをいいます。質問紙には質問が全部で90個あります。以下の18個がスキーマの例です。 

  1. 私をいつくしんでくれたり、その人生を共有してくれたり、また私に起こるすべてのことを深く気にかけてくれる人はいなかった
  2. 親密な人たちが自分から離れていってしまうのが怖いので,私はその人たちとの関係に執着してしまう。
  3. 私は人に利用されていると感じている
  4. 私は周囲から浮いてしまう
  5. 私が好きになる人はみんな,一度私の欠点を知ると私を愛せなくなるだろう
  6. 仕事や学校ではほとんどのことで,私は人と同じようにはうまくできない
  7. 私は一人で日常生活を支障なく送る自信がない
  8. 何か良くないことが今に起きるのではないか,という不安が常に付きまとっているように思う
  9. 同世代の人たちと同じようには,私はまだ(両)親から自立できていない
  10. 私が自分の望むことをすれば問題が起きるだけだ
  11. 結局は自分が身近な人たちの世話をしていることがほとんどである
  12. 愛情や思いやりなどのポジテイブな感情は恥ずかしくて人に見せられない
  13. 私がすることは一番でなくてはいけない。二番は受け入れられない
  14. 人に何かを頼んだとき、断られるのには我慢できない
  15. 雑用やつまらない作業をやりこなすための忍耐力には自信がない
  16. お金を持っており,有名な人を知っていると自分も価値があるように感じる
  17. 何もかもうまくいっているように思えても,それは長くは続かないことだと思う
  18. 自分が失敗や間違いをしたら,罰せられて当然だと思う

スキーマを持っていると、ことあるごとに頭に浮かんで自分を苦しめます。そんな風に思わなくていいはずなのに、その考えを信じてしまうという厄介なものです。カウンセリングでは、依頼者が不快な気分になっているときにこのリストを見てもらい、自分がどの考えをしているか探してもらいます。そうすると「そういえば、こう考えているかも」と自覚することができるのです。自覚することによって対処が可能になっていきます。

 

逆に、リストが無ければ普段自分がこのように考えていることをほとんど自覚できません。 当たり前過ぎて自分がそう考えていることがわからないのです。自分が苦しんでいる本質的な原因があるのに、それが何なのか分からないという状態です。何に苦しんでいるのか分からないのですから、対処のしようもありません。

 

 

▼スキーマ療法には何ができるの?

自分を苦しめる思考のクセを柔軟にしていくのがスキーマ療法です。思考のクセがあるとモンスターになったり、がんばれなかったり、うつになったり、引きこもったり、必要以上に不安になってしてしまうことがあります。

 

そのような自分を苦しめる思考がある人や、他人の権利を侵害することが当たり前になってしまっている人に用いるものです。カウンセリングを通して自己理解をし、今までとは違う思考や行動をするためのワークをしていきます。ある意味では全ての人間に使えるものだと思います。

 

 

 ▼スキーマ療法では何をするの?

スキーマ療法でのカウンセリングの流れをごく簡単に説明します。その人に合わせて、かなり色々なやり方をしますので、以下はあくまで一例です。

 

最初にやることは、自分にはどんなスキーマがあるのか知ることです。90問の質問紙を行います。その中で、特に強く当てはまると感じるスキーマに焦点を当てていきます。

 

次にやることは、何かあって気分が沈んでいる時にどのスキーマが浮かんでいるのかを自覚することです。カウンセリングの最中に、何か困りごとについての話題があるごとに「リストのどのスキーマが頭に浮かんでいますか?」と私は尋ねることになります。

 

スキーマが特定できたら、そのスキーマの妥当性と、スキーマに対する反論について考えていきます。

 

例えば、何かに失敗した時に「自分が失敗や間違いをしたら,罰せられて当然だと思う」というスキーマがうかんでいるとしましょう。その時に、「それほどまでに重大な罪を犯したのか?」「罰する以外の建設的なやり方はないのか?」そういった質問を重ねて考え方のストレッチを行います。体のストレッチと同じで、くりかえしていくことで柔軟性は増していきます。

 

スキーマ療法の育成ゲームの側面について説明します。

スキーマ療法では、スキーマのひとつひとつを自分の頭の中にいるキャラクターのセリフであると考えます。キャラクターは基本的に次の3人です。

  • 罰や批判が好きなヤな奴
  • 怯えた子ども
  • 成長途上の自分自身

 この3人が基本的なキャラクターです。彼らのうち、ヤな奴が罰や批判をし、子どもは何かを怖がっています。自分自身は成長途上なので、ヤな奴に傷付けられている子どもを守ることができません。

 

例えば、「自分が失敗や間違いをしたら,罰せられて当然だと思う」というスキーマが頭に浮かんでいる時には、やな奴がこの言葉を頭のどこかで囁いていて、子どもが怯えている状態になっています。

 

やな奴から子どもを保護し、共感してあげることが成長途上の自分自身の任務です。共感と保護をするために、様々な考え方のストレッチを行います。自分自身が十分に成長し、子どもを守れるようになると、心の中の自分が実際の自分の年齢と同じくらいに成長したと実感できるようになります。このように心の中の自分を充分成長させることが、スキーマ療法でのカウンセリングが目指すゴールです。