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個性を自立力にするために興味を広げるべし

個性を自立力にするための子育てや教育のやり方について発信しています。発達障害の成人向けの話題も発信してます。クエストスクール代表荒川の個人ブログ

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大人の発達障害の仕組⑤:支援の実例

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▼大人の発達障害の仕組みシリーズ

第1回 大人の発達障害の仕組み①:遺伝子と知伝子 

第2回 発達障害の大人の仕組み②:ハードの障害が発達障害、ソフトの障害がパーソナリティ障害

第3回 大人の発達障害の仕組み③:生みの親と育ての親

第4回 大人の発達障害の仕組み④:コミュ障=発達障害∪パーソナリティ障害

第5回 大人の発達障害の仕組⑤:支援の実例

 
 

 

▼発達スペクトラムとパーソナリティスペクトラムへの支援

ここからはハードとソフトそれぞれの課題に対してどのような対応をしていくのか、ぼくがカウンセリングをした方の実例を挙げながら説明していきます。

 

自己肯定感とは、自分は自分で良いのだという感覚のことを言います。発達障害のある人は自己肯定感が低く、それが悪化していってうつ状態になる場合があります。その理由は、発達障害のある人は「空気が読めない」「自分は他の人と同じようにできない」と感じる経験を重ねることが多いため、自己肯定感を育てることができづらいためです。

 

このような状態にある人は、ハード(脳の性質)とソフト(パーソナリティ)の両方に課題を抱えているといえます。このタイプの人は、シリーズの第4回で行った分類では「③発達とパーソナリティの両方に強いスペクトラムがある人」に該当します。

 

 

▼実例の第1段階:スキーマ療法で思い込みを修正する

ぼくがカウンセリングをした方の例を挙げてみます。

 

Aさんは病院にかかっていて、アスペルガー症候群の診断をもらっていました。様々な薬を飲んでいましたが、気持ちの落ち込みがはげしい状態が何年か続いていました。

 

またAさんは、技術者として大変能力が高いのですが、学校の勉強の成績が悪かったせいで「自分はあらゆる面で、他の人と同じようにはできない」という思い込み(スキーマ)を持っていました。そしてそのような思い込みを持っていたせいで、強迫的に自分を追い込んでがんばり過ぎては、体調を崩すということを繰り返していました。そのため心身ともに疲れきっていました。

 

そのような状態だったので、最初にスキーマ療法を行っていくことにしました。強迫的に自分を追い込む傾向を弱めていく必要があったためです。強迫的な傾向を弱めていくことができれば、体力や気持ちの状態を回復していくことができます。回復していくことができれば、自分のハード(アスペルガーという脳の性質)について理解し、受容するためのワークに進むことができます。そして自分の性質を活用して活躍していくためにどうすれば良いかを考えていくことができるようになります。

 

週に2回、1回60〜90分のカウンセリングを2ヶ月ほど続けた段階で、本人もかなり調子が良くなっていることを実感していました。この頃から、徐々にカウンセリングの回数を減らしていって、カウンセリングの内容も自己管理の方法を身につけるという方向に変えていきました。

 

ここまでがスキーマ療法によるスキーマの修正です。第1段階はソフト(パーソナリティ)の修正でした。

 

※人によって様々な思い込みがあります。どのような思い込みがあるのかを調べ、その思い込みによって生じる困った行動をゆるめていくのがスキーマ療法です。尚、スキーマ療法の説明に関する記事は↓

モンスターと呼ばれる人々に共感的理解ができるようになる本:スキーマ療法

 

 

▼実例の第2段階:発達障害や体調の自己管理

この段階では発達障害に特有の性質とうまく付き合っていくことを目的とします。

(以下に描いた内容はあくまでも一例です。というのも発達障害は、人によって現れる困った症状が様々だからです。)

 

Aさんは自分が得意とする仕事に対して非常に集中して取り組める人でした。これはADHDの性質である過集中の症状を有効利用したものだと言えます。また、職人気質で非常に細かい部分まで丁寧に仕上げることができました。これはアスペルガーの性質である「こだわりの強さ」を有効利用したものだと言えます。

 

このような発達障害特性を生かして自分の仕事に活かしながら、弱点をいかにカバーしていくかが重要になります。では、Aさんの弱点とは何でしょうか?

 

Aさんの場合は、仕事に集中し過ぎて疲れ果ててしまうことがありました。そのため、ついついやり過ぎてしまって体調を壊すことが起こってしまいます。そこで、大体どのくらいのペースで仕事をすると、仕事も体調も調子が良い状態になるのかを調べるためにデータを取ることにしました。記録したのは次のようなデータです。

 

①起床時間、就寝時間、合計の睡眠時間

②仕事をした時間

③食欲

④疲労感

⑤持病の状態

 

このようなことがらの記録を取っていくことで、大体の調子がつかめるようになります。このようにして、自分の生活や体調をうまく折り合いを付けてコントロールできるようになっていきます。

 

ここまでの自己管理が第2段階です。これは自分のハード(脳)の特性を理解して、うまく付き合っていくための段階でした。

 

※第2段階では、コミュニケーションに課題がある人であれば、どんなときにどんなふうに人と関われば良いかを練習するようなやり方もあるでしょう。

気が散りやすい人なら、集中できる環境を作るためのアイディアを出し合って実行していくことになるでしょう。

ものをなくしやすい人なら、無くさないための具体的なやり方を検討していくことになるでしょう。

部屋を片付けられない人なら、片付けやすい部屋にするために具体的にどうやっていくか検討することになるでしょう。ちなみに片付けをするならコジマジックがオススメです。↓ 

収納王子コジマジックの魔法のかたづけ術

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▼実例の第3段階:発達障害の症状に対する薬の利用

自己管理のやり方を習得していきましたが、Aさんの場合は、自分の関心が強いことに対して集中し過ぎることや、逆に関心が弱いことに対して気が散り過ぎてしまうことがありました。この点について本人が病院の医師と相談し、注意力を調節する薬を飲むこととなりました。

 

飲み始めに食欲不信という副作用が生じましたが、徐々に副作用がなくなっていきました。そして日常生活の様々なことを落ち着いて取り組めるようになったと本人は感じていました。

 

このように第3段階で薬を利用することを検討しました。第1・第2段階でソフトとハードのコントロールの仕方を覚えましたが、それでもコントロールすることが難しい面が残ったためです。逆に、第1、第2段階で十分であれば薬を使う必要はありません。

 

 

▼大人の発達障害の支援のまとめ

大人の発達障害に対する支援は、子どもの発達障害とは全く別ものであるというのが実際に取り組んでみた感想です。どのように支援するかというと次の通りでした。

 

  • 第1段階:スキーマ療法によって本人のスキーマ(思い込み)を明らかにし、生きやすい考え方に修正していく。
  • 第2段階:その人固有の発達障害特性を明らかにし、それぞれの特性の活用方法や折り合いの付け方を見つけていく。
  • 第3段階:第1、第2段階を終えても残ってしまった困った点に関して、薬でどうにかなる場合は服薬することを検討する。

 

ぼく自身が対応した例がまだ少ないのですが、基本的にはこのようなやり方をベースにしていけば成果を上げつつ、間違いは少なくできると考えています。

ネックなのは、スキーマ療法が使える人が日本には推定100人くらいしかいないことです。なので早い所、スキーマ療法を使える人を増やすことが必要です。

 

 

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