お母さんがうつ病である場合に、その赤ちゃんの発達はどのようになるのかについて調べました。調べたのは以下のことです。
A: 親子の愛着の形成
B: お母さんのうつの症状
愛着とは、親子のスキンシップやコミュニケーションによって子どもの心に形成されていくものです。親子の愛着が健全に形成されていくことによって、子どもは日々を安心して過ごすことができるようになります。
調査に協力してくれたのは次の3グループのお母さんと12ヶ月の赤ちゃんです。グループは以下のように分けられました。
- うつ病で病院にかかっているお母さんと赤ちゃん25組:お母さんは病院で治療をしているため、重いうつ病です。
- うつの軽い症状があって病院にかかっていないお母さんと赤ちゃん16組:このグループのお母さんは、日常で比較的軽い落ち込みがあります。病院にかかって服薬するほどの重症度ではありません。
- 健康なお母さんと赤ちゃん41組:母子共に産後の経過が良く、お母さんに落ち込みがありません。
結果は予想通り、お母さんのうつの状態が悪いほど、親子の愛着がうまく作られないようでした。
抄訳した論文の原題:Severe maternal psychopathology and infant–mother attachment
▼成長に不可欠な愛着の役割とは?
親子の愛着は子どもの一生を左右します。愛着がうまく作られないことによって、以下のような悪影響が現れることがあります。
- お母さんと離れるのを非常に不安がる。日常的に不安が強く良く泣く。
- 不安が強いことによって、友達を作ったり活動することができにくくなる
お母さんからの温かい関わりによって、このような悪影響を起こりにくくすることができます。お母さんが健康で元気であることで初めてこのような関わりができるため、お母さんの心の健康が非常に大切です。
産後うつは、妊娠中の不安感が強いことによって危険性が上がることが分かっています。「ダンナ必読!出産を控えた奥さんのために知っておくべきこと」を参考に、夫婦のコミュニケーションをとってみてください。