▼日本語訳
この調査は、職場でのいじめに対する対処の仕方について調べる目的でアイスランドで行われました。協力者は398人の銀行職員です。
いじめへの対処の仕方は4種類に分類でき、相手に対して自己主張する、周囲に助けを求める、相手を避ける、何もしない、というものがありました。
この対処の仕方は積極的なものと消極的なものとに分けることができます。いじめの深刻さや期間によって、選ばれる対処は変わってくるでしょう。
男性は女性よりも、助けを求めたり相手を避けることをしないで、相手に対して主張することで切り抜けようとするようでした。
相手を避けることや何もしないことは、いじめの状況を悪化させることにつながるようです。この結果は、学校におけるいじめとも共通しています。
いじめが始まった頃の段階では、相手に自分のことを主張する対処が選ばれるようです。しかしいじめが深刻化していくと、消極的な対処が選ばれるようになっていくようです。
原題:Coping with bullying in the workplace: the effect of gender, age and type of bullying
▼荒川コメント
いじめられていて最初は抵抗していますが、抵抗してもいじめが静まらない状況が続くとだんだん無力感が生じるようになっていきます。これを学習性無力感と言います。この状態はうつの症状といってもいいでしょう。学習性無力感とうつの状態では、どんどん元気がなくなっていって、怒りの気持ちが起こらなくなっていきます。元気や怒りの気持ちがわかないということは自分の意思を主張することもできなくなっていきます。このようにして、どんどん消極的な対処に移り変わっていきます。