
愛情の不足は虐待や育児放棄以外の状態でも起こります。子どもはスキンシップの不足や、「わかってもらう」ことの不足によっても愛情不足になります。そのような子どもに対して保育士は母親の役割を果たすことができるのでしょうか?
この調査で調べられた「子どもが愛情を感じる保育士の行動」は次のものです。
- 子どもの行動に対する反応の良さ、共感性の高さ
- クラスの快適さ
- 子どもが安心できる言葉掛け
- 適切な励ましや手助け
保育士に上記の行動が多い場合に、子どもの乱暴な行動が起こりにくくなりました。乱暴な行動が起こりにくくなるということは、それだけ愛情が満たされる度合いが増えたということです。
▼荒川コメント
- 生まれつき不安が強い子、攻撃性が高い子がいることは事実です。これらの傾向が非常に強い場合は、発達障害が疑われることもあるでしょう。子どもの生まれながらの特性によっては、お母さんに非常に大きなストレスがかかります。ストレスが大きければ、愛情を持って子どもとかかわれなくなってしまうこともあります。すべてが母親の責任ではないことには十分注意する必要があります。母親に対する社会からの支援が不足した結果として、子どもへの愛情不足が起こっていると考えた方がいいでしょう。
- 親との関係の不安定さ(愛着の不安定さ)を抱えている子どもは一定の割合でいます。そのような子どもにとって、幼稚園や保育園の先生との安心できる関係はかけがえのないものです。このことをふまえたときに、「クラス替え」「担任交代」が1年おきに起こるのは、改善の余地が大いにある状況だと私は考えています。国によっては数年間を必ず同じ先生が担当する制度を採っている所もあります。
- そもそも「クラス替え」「担任交代」はなぜ起こるのでしょうか?原因には、保育士の社会的地位の低さ、賃金の低さ、それによって起こる職員の退職、という問題が横たわっています。非常に根深い問題です。