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個性を自立力にするために興味を広げるべし

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ASKA逮捕で確認したいADHDの良薬としての覚せい剤メチルフェニデート

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メチルフェニデート(広義の覚せい剤)はADHD(注意欠陥多動性障害)の人には重要な治療薬で、日本でも認可されている薬剤です。アメリカではADHDの子の66%がこの薬を利用しているという報告もあります。チャゲ&飛鳥のASKAさんのニュースをきっかけに、覚せい剤について正しく理解しましょう。

この記事の目的は「薬に関連することがらの情報提供」であって「服薬以外の発達障害への対応の否定」ではありません。そのことをふまえて読み進めてください。 

 

乱用と治療の使用法の違い

乱用と治療では、体への取り込み方がまったく異なります。乱用の場合では快感を得るために大量の薬剤を急激に取り込むのに対し、治療では少量を長時間取り込むという点で異なります。

 

乱用:多量で急激な摂取

多量で急激な摂取を行う際には、注射、粉の吸引、炙って出た煙の吸引というやり方を行います。このようなやり方だと、一度に大量の薬剤が体内に取り込まれることになり、血中の薬の濃度が一気に高まります。血中濃度の急激な高まりによって、以下のような症状が現れます。

  1. 中枢神経の興奮作用: 気分爽快、自信増加、積極性増加、精力増進、疲労感減少、多弁、不眠、常同行動
  2. 交感神経の刺激作用: 瞳孔散大、立毛感、心悸亢進、末梢血管の収縮、四肢の冷感、血圧上昇、狡猾、腱反射の亢進
  3. 食欲減退作用
  4. 強い渇望感を伴う依存の形成
  5. 錯乱、幻覚、妄想などを伴う中毒性精神病の発現
出典:脳科学事典

 

治療:少量を徐々に摂取

成人のADHDの治療に薬剤を用いる場合には、徐放剤(じょほうざい)という特殊な錠剤やカプセルとして用いられます。カプセルの場合は水分を含むことによって中の薬剤を少しずつ押し出すように作られています。錠剤の場合は、溶けるのが非常にゆっくりになります。カプセルでも錠剤でも共通するのは、少量を長時間摂取できるようにすることです。

このような用法によって、動き回っていることの多いADHDの子が落ち着いて行動できるようになります。「覚醒剤」と聞くとテンションが上がってしまうようなイメージを持つかもしれませんが、逆に落ち着くのです。成人のADHDの場合だと注意の集中がしやすくなります。

 

 

治療でも気になる乱用の危険性は?

結論から言うと、服薬治療によって薬物乱用の危険性は「下がります」。上がるのではなく、下がるんです。ADHDの治療薬は覚醒剤と同じ成分であることが知られています。そのため投薬を行う子どもの親御さんは薬物乱用の危険性を非常に心配します。

薬物乱用について調べた調査は数多くあります。例えばADHDの診断を受けた13〜19歳で、4年以上の投薬治療をした674人と薬を使っていない360人のを比較した調査があります。結果は、投薬治療をしている人の方が薬物やアルコールの乱用が少ないことがわかりました(z = 2.1; 95% confidence interval for odds ratio [OR]: 1.1–3.6)

抄訳した論文の原題:

Does Stimulant Therapy of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Beget Later Substance Abuse? A Meta-analytic Review of the Literature

DrugFacts: Stimulant ADHD Medications - Methylphenidate and Amphetamines

 

 

なぜ薬物やアルコールの乱用の危険性が下がるのか?

ADHDの子どもの場合、服薬治療によって以下のものが高まることが分かっています。

  1. 学業成績や仕事の効率:服薬によって、集中力が高まることによって成績や効率が高まる
  2. 周囲とうまくやっていく社会性:ADHDの特徴である衝動性(怒りっぽい、後先考えずに行動する)が減少する。その結果、周囲との衝突が起こりにくくなる。
  3. 自尊心:自尊心とは、「自分は他の人と同じように価値がある」という考えのことです。成績や社会性が高まることによって、自尊心が高まります。自尊心が高まることによって、薬物やアルコールによって嫌な気分を紛らわせる必要が少なくなります。結果的に、薬物やアルコールの乱用の危険性が下がります。もし逆に自尊心が低い状態になると、非行や薬物やアルコール依存の危険性が高まることが分かっています。

詳しくは、「覚せい剤と同じ成分のADHDの薬を安全に飲んでいる子どもは66%(アメリカ)」をご覧ください。

 

 

多くのものは適量なら薬、乱用なら毒

このようにニュースとして覚せい剤が取り上げられると、不安が高まります。ですがその不安の感じ方そのものについても考えてみましょう。日常において人は、大した危険ではないのに強く不安がったり、逆に危険は大きいのにあまり不安にならなかったりしているものです。

 

怖がられ方が過小なものの例:アルコール

個人的にはアルコールはもっと怖がられても良いと感じています。なぜなら、アルコールを摂取し過ぎるとアルコール依存症になるからです。アルコール依存症は生活のすべてをアルコールを飲むために費やしてしまうため、仕事や生活が破綻してしまうという恐ろしい病気です。アルコール依存症になると、うつ病の症状も現れますから非常に辛いものとなります。

このような恐ろしい病気であるにもかかわらず、コマーシャルではお酒をどんどん飲むように消費者にうながしています。もし消費者の多数派にお酒に対する強い恐怖感や不安感があったら、あんなにもクリーンなイメージでCMを放送することは許されないでしょう。このことからお酒は本来の危険性よりあまり怖がられていないものの代表だと言えます。

 

過剰に怖がられているものの例:ステロイド

根強く恐れられているものの一つにステロイドがあります。ステロイドはぜんそくや皮膚炎の治療などに使われる薬剤です。ここではぜんそくの治療薬としてのステロイドを考えてみましょう。

ぜんそくに用いられる最近のステロイドは、昔のステロイド剤の数分の1という少ない量で十分な効果が出るように作られるようになっています。 ステロイドを毎日継続して吸入することによって、発作自体が起こりにくくなります。

間違ったぜんそく治療の代表的な例に「発作が起きた時だけ薬を使う」というものがあります。発作を抑えるための薬は体や心臓に対する負担が大きいだけでなく、発作が起きやすい状態が続いてしまいます。ですからこれは非常に危険な対処法です(詳しくは「チェンジ喘息!」を参照ください)。

このことからステロイドは、本来の危険性(それか、その他の見落とされている危険性)よりもずっと怖がられているものの例だと言えます。

 

 

追記:注意! 

  • 発達障害に対するあらゆる教育や薬剤は「自尊心を保つこと」を目的の一つにして行われるべきです。これを別の言い方をすると、すでに環境に適応できて自尊心が保たれる状態になっているのであれば服薬する必要はないと言えます。
  • 定義上、覚せい剤に分類される化学物質には、多くの人にとって身近なものも含まれています。例えば、タバコに含まれるニコチン、お茶やコーヒーに含まれるカフェインは、分類的には覚せい剤です(出典:Wikipedia)。「覚せい剤」という用語が悪いニュースとあまりにもセットで報道され過ぎる現状があり、「覚せい剤」という言葉に悪いイメージが貼り付いてしまっているようです。
  • 英語ではADHDの服薬治療をStimulant Medicationと表現することがあります。Stimulantは、覚せい剤、興奮剤、刺激薬の意味です。Medicationは投薬治療の意味です。

 

 

▼まとめ

  • 医師の指導のもと使っている限り、メチルフェニデートはADHDの子や成人の薬物乱用の危険性を下げます
  • 多くのものは適量なら薬、乱用なら毒です
  • 怖いものがあったら、肯定派の意見と否定派の意見の両方を知りましょう

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photo credit: Lif... via photopin cc