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個性を自立力にするために興味を広げるべし

個性を自立力にするための子育てや教育のやり方について発信しています。発達障害の成人向けの話題も発信してます。クエストスクール代表荒川の個人ブログ

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Google Glassに欲しい、アスペルガーのための機能「相手の感情の読み取り」

アスペルガー症候群

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Google Glass(グーグル・グラス)はメガネのように装着して、レンズに情報を直接映し出してくれる装置です。Google Glassは自閉症スペクトラム障害(※)のある人が苦手とすることをどのように解決してくれる可能性があるのでしょうか?

「感情の読み取り」というアスペルガーの特性は、Google Glassと最近ソフトバンクが発表した「人間の感情を読み取るロボット」の技術を組み合わせることで対処可能になるかもしれません。

※自閉症スペクトラム障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害の総称です。

  

「感情の読み取り=空気を読む」のメカニズム

最初にアスペルガーの人が苦手とする「相手の感情の読み取り」がどのようなメカニズムによって生じるのか確認しましょう。相手の感情を読み取ることの難しさが起こる原因は大きく分けて2つあります。

  1. 相手の表情、声のトーンなどの「非言語的なサイン」を見分けることが難しい
  2. 「非言語的なサイン」を瞬時に読み取り、「自分が相手の立場だったらどう感じるかな?」と相手の感情を推測することが難しい

この2つの難しさが結果的に「空気が読めない」と言われることになるような生きづらさにつながることになります。そして実際に、表情を見分けるのが難しい人のための練習方法も存在します。現状では、表情を見分ける練習をしても「現実に会話する相手は練習のように大げさに表情を作らない」という理由で機能しないこともあるようです。

 

 

感情を読み取るロボット「Pepper」

最近、ソフトバンクが人間と対話ができるロボット「Pepper」を発表しました。このロボットは次のようなプログラムが組まれているようです。

  • 相手の非言語的なサイン(声のトーンの変化や表情の変化)を正確に読み取る
  • 非言語的なサインを読み取った上で、その状況にふさわしい発言や行動を選び出して実行する

このプログラムをアスペルガーの人にも利用できるようにすれば、アスペルガーの人が他者と対話する際に役立つはずです。そしてこのプログラムを人間が会話の最中に利用するための装置としてGoogle Glassが使える可能性があります。

これは現在存在するテクノロジーを組み合わせるだけですから技術的なハードルはかなり低いと私は予想しています。

Pepperに関する記事:http://www.capital-tribune.com/archives/4056

 

 

Pepper+Google Glassの課題となること

視界にあまりにも表示が次々に現れるとユーザーが会話に集中できなくなってしまいます。ただでさえ発達障害のある人はマルチタスク(同時に複数のことを行うこと。ここでは、Google Glassの表示を見ながら会話すること)に苦手があるのですから、その点を十分に配慮した設定にする必要があります。混乱を増幅する装置にならないための実用化のテストに多くの時間が掛かるかもしれません。

 

 

機械への依存を生む?依存は悪?

このような見解について起こること予想される反論は、「それなしで生きていけなくなるから、なるべく使わない方がいいのでは?」です。この反論の妥当性について考えてみましょう。

 

人類の歴史=技術の開発と技術への依存の歴史

そもそも人類は、歴史上ずっと道具を開発しては、それに依存することを繰り返してきました。この意味で人類の歴史というのは、「技術の開発と技術への依存の歴史」とさえ言えるかもしれません。

古くは「農業」という画期的な技術を開発し、人類は自分たちで食料を生産できるようにしました。もしかしたらこの時代には農業に対する次のような反論があったかもしれません。

「食料はもともと自然にあるものを採るのが正しいんだ。もし農業などというものに依存するようになったら、それ無しでは生きてけなくなるだろう」

農業が開発されて数千年経過した現在、実際に農業は私たちにとって欠かせないものになりました。もし農業がなくなったら人類は生存できないでしょう。ですがだからといって、「農業を使わない方がいい」とは言えないはずです。「依存するほど重要なものなのだから、大切に利用する」のが技術との正しい付き合い方なのではないでしょうか。

 

誰にでもある「これ無しでは生きていけないもの」

もうすこし考えてみましょう。あなたには「これ無しでは生きていけないもの」はありませんか?例えば次のようなものがあなたにとっての「これ無しでは生きていけないもの」かもしれません。

  • 家族
  • 恋人
  • 子ども
  • ペット
  • インターネット
  • 他多数

誰もが多いに、何かに頼りながら生きていることが分かるでしょう。もし「家族は失う可能性があるから、家族とは自分から縁を切る」という考えがあるとしたら、それに対して不合理だと考える人が多いはずです。

大切なのは「これ無しでは生きていけないもの」と適切な付き合い方をすることです。発達障害がある人にとっては今後、Google Glassが「これ無しでは生きていけないもの」になる可能性があります。そしてそのような状態になることはとても喜ばしいことです。

 

 

Pepper+Google Glassと競合するのはオキシトシン? 

人間の体内にはオキシトシンというホルモンが存在します。オキシトシンは相手の表情を読み取る作用を持っていて、自閉症スペクトラム障害のある人の協力を得ながら試験が続けられています(海外ではすでに販売もしている所もあるようです)。使い方は、鼻の穴の奥にスプレーするというものです。

Pepper+Google Glassとオキシトシンは全く違う技術ですが、「表情を読み取る」ために用いられる点では共通しています。ではどのような使い分けがされる可能性があるのか妄想してみましょう。

Pepper+Google Glassの長所:薬品を使うことに忌避感を感じる人や、スプレーしても効果が出にくい人にとってはPepper+Google Glassが使いやすくなるのかもしれません。

オキシトシンの長所:逆に機器を扱うことに難しさを感じる人や、メガネをかけることへの感覚過敏があるような人の場合であれば、オキシトシンのスプレーが有効になるでしょう。一度スプレーしてしまえば数時間は何もしなくても大丈夫な点も長所です。

「表情を読み取る」という機能を果たす道具としての、Pepper+Google Glassとオキシトシンの今後に注目していきましょう。

参考:オキシトシンは自閉症スペクトラム障害の治療薬になれるのか?

 

  

テクノロジーが発達障害のある人を生きやすくする

この記事では主に発達障害の人が抱える困難の一つである「相手の感情を読み取ること」 に焦点を当てて、テクノロジーの利用方法を考えました。他にもまだまだテクノロジーの発展によって対処が可能な発達障害の特性があります。実現は50年くらい先かもしれませんが想像だけはしておきましょう。

 

教育を受けたり仕事を行うための課題分析

現在、発達障害の人が教育を受けたり就労する際には支援者がついて、さまざまなサポートをすることがあります。もしプログラムが高度に発達すれば、支援者の役割(どんなときに、何を、どうするのか、を知らせる援助)をGoogle Glassのような機械が肩代わりできるようになる可能性があります。支援者もプログラムもやっていることを突き詰めると、「どんなときに、何を、どうする」という情報の提供なのですから。

もしそうなれば、支援者のサポートを得られにくい状況におかれている人にとって非常に大きなメリットがあります。また、支援者からの支援の度合いが減り、より自由度が高い生活ができる人が増えるかもしれません。

 

自分自身の現在の状態を知る(メタ認知の補完)

発達障害のある人には「自分自身の状態を客観的に見ることの難しさ」が生じることがあります。これをメタ認知の障害といいます。

メタ認知の障害があることによって生じる問題の例としては、没頭しすぎてひどく疲労する、自分の感情が把握できないせいで感情をコントロールしにくい、などがあります。いずれも自分自身の状態をモニタリングしにくいことが原因になって起こる課題です。

これらの課題はGoogle Glassのような機器が随時知らせてくれさえすれば対処がいまよりもずっと楽になる可能性があります。

 

 

まとめ

  • 技術の発達によって、発達障害の人の生活が今よりも過ごしやすいものになる可能性があります。
  • 技術の発達には実は、発達障害の傾向の高い人が多く貢献しています。プログラミングを非常に得意とする発達障害傾向の人などが良い例です。
  • 発達障害の人の教育を質の高いものにしていくことによって技術が高まり、そして技術が教育を高めるというサイクルができます。発達障害の教育に関心を持ちましょう。

 

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photo credit: tedeytan via photopin cc