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個性を自立力にするために興味を広げるべし

個性を自立力にするための子育てや教育のやり方について発信しています。発達障害の成人向けの話題も発信してます。クエストスクール代表荒川の個人ブログ

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子どもを依存的にしない手助けの方法:フェイドアウト

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子どもを手助けするか、見守るかという点に関して悩む親御さんは多いようです。

手助けに関して、ある人はこう考えているかもしれません。

「子どもが求めてくる限り、たとえその子の力量でできることであっても必ず多くの手助けをする必要がある」

また、別の人はこう考えているかもしれません。

「子どもが必要としていても、大人は一切手を貸してはいけない。もし少しでも手を貸したらその子は依存的な人間になってしまう」 

このような両極端な考え方があり得る中で、どのようにして手助けというものを行っていくことが「子どもの自立性を高める」ことにつながるのか考えてみましょう。

 

手助けは段階的に減らす

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結論から言うと、大人からの手助けはフェイドアウト(段階的に減らすこと)することによって、子どもの自立性を保ちながら知識やスキルを身につけていくことが可能となります。

非常に身近なフェイドアウトの例について考えてみましょう。ごく当たり前に行われているフェイドアウトの例は、クロールを泳げるようになるまでの以下のような過程に見ることができます。

  1. 子どもは大人に両手をリードしてもらいながら泳ぐ。このときに水に慣れたり、バタ足の練習をする。(大人からの手助けやコーチングの度合い大)
  2. ビート板を両手で持って泳ぐ。このときに一人で水に浸かって泳ぐことと、息継ぎの練習をする。(大人からのコーチングの度合い中)
  3. 腰にヘルパー(浮き)を付けて泳ぐ。このときに両腕の動かし方と息継ぎを練習しながら泳ぐ。(大人からのコーチングの度合い中)
  4. ヘルパー等の補助具をすべて外して泳ぐ。(大人からのコーチングの度合い小) 

以上のクロールを泳げるようになるまでの過程において、大人からの手助けやコーチングを子どもが受ける度合いが段階的に徐々に弱まっていく(つまり手助けがフェイドアウトされる)ことが理解できると思います。これをふまえたうえで、冒頭に述べた手助けについての両極端な考え方の妥当性について考えてみましょう。

(専門的には上記の水泳の例にはチェイニングやプロンプトも含まれていますが、説明を簡略化するためにフェイドアウトにのみ焦点を当てます)

Q. 手助けをされると子どもは依存的になるでしょうか?

A. いいえ、一人で泳げるようになるという意味で自立的だと言えます。ただし、上達するための水泳の練習方法を自分で考えだすことは、多くの大人と同じくできないでしょう。自分で練習方法を考えだすためには、また別の学びを必要とします。

Q. その子の力量でできることでも必ず多くの手助けをする必要があるのでしょうか?

A. いいえ、水泳の例を始めとして大抵の手助けはフェイドアウトによってその度合いを減らす必要があります。もし手助けが過剰な状態が長期間継続すると、心の栄養※のバランスが崩れることがあります。結果として子どもに「わたしは、自分で問題を解決することができない」という無意識の思考を生じさせる可能性があります。このことから、大人は子どもの自立性を高めるための方法を考える必要があります(※心の栄養と無意識の思考については次の記事を参照:子どもが生まれてから自立するまで使える子育てメタ理論とは?)。

注意!:ただし水泳の例の場合、子どもが水に対して恐怖感を抱いていない場合に限り手助けのフェイドアウトを行います。恐怖感が強い場合は、別のやり方を考えるか、水泳の練習そのものを一時的に諦める必要があるかもしれません。「その子にとっての最適な時期を見極める」ということも手助けのあり方の一つです。

 

 

レゴの例に当てはめると・・・

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フェイドアウトの応用例として、以前に紹介した「4歳児でもレゴが一人でできるようになる3つのコツ」を例に考えてみましょう。ここでは、課題分析と、難易度の検討を先に行ったあと、フェイドアウトについて考えるという手順を踏みます。

 

課題分析をする

ここではレゴが完成するまでの手順について課題分析してみます。課題分析とは、ある活動を始めてから終えるまでの手順を書き出すことを言います。具体的には以下のようなリストになります。

  1. 説明書の正しいページを開く
  2. 説明書に従って必要なブロック見つけ出す
  3. 見つけ出したブロックを適切な場所にはめる
  4. 説明書と自分の手許のブロックを見比べて確認する
  5. もし間違いに気付いたら、正しい状態に修正するための手順を考える
  6. 完成するまで1〜5を繰り返す

このようにしてレゴを作り始めてから完成させるまでの手順を書き出すことによって、手順ごとの難易度や具体的な手助けの方法を考えやすくなります。

1〜6までの段階をすべて行えたときに初めて、「一人でレゴを組み立てることができる」と言うことができます。逆に、たった一つでもできない手順があれば完成させることができません。子どもの成長でも大人の仕事でも、ボトルネックを見つけて必要な対策を施すことが重要なのです。

※説明を分かりやすくするために今回は課題分析を1〜6の6段階に分けました。他の部分で子どもにつまずきがある場合には、もっと細かく手順を分解することが必要になるかもしれません。

 

はじめから終わりまでの手順の難易度を検討する

そして次に、課題分析した項目について実際に子どもがやってみながら、どのような難しさがあるのかを確認します。その上で課題分析した項目の難易度を考えます。難易度は以下の3つにするとわかりやすいでしょう(ちなみにここでの難易度設定は我が家の長男4才を参考にしています。同じ4才でも個人差があります)。

①今の時点でも子どもにできること

②工夫次第で子どもにもできること

③子どもには難しいこと(大人の直接的な手助けが必要なもの)

そして1〜6の手順それぞれについて難易度を書き込んでいくと、次のようになります。

  1. 説明書の正しいページを開く(①子どもにできる)
  2. 説明書に従って必要なブロック見つけ出す(②工夫次第で子どもにできる:ブロックを色ごとに分けて広いトレーに入れれば、子どもが自分で見つけられる)
  3. 見つけ出したブロックを適切な場所にはめる(①子どもにできる)
  4. 説明書と自分の手許のブロックを見比べて確認する(①子どもにできる)
  5. もし間違いに気付いたら、正しい状態に修正するための手順を考える(③子どもには難しい)
  6. 完成するまで1〜5を繰り返す(①子どもにできる。ただし5以外)

このようにしてみると、①〜③の難易度が点在していることがわかります。難易度を把握して仕分けすることによって、子どもが自分の力量でできる部分を担うことができるようになります。全ての手順を大人が行っている状態(6つの手順のうちの6つ)と比較すれば、上記の例は手助けをフェイドアウトできている度合いが高いと言えるでしょう(大人が直接手助けするのは6つの手順のうちの1つ)。

※レゴの組み立て方と手助けの工夫に関する詳細:4歳児でもレゴが一人でできるようになる3つのコツ 

 

 

心の栄養との関連

大人から子どもに与える心の栄養との関連について述べておきます。

手助けも心の栄養として重要なものです。あなた自身が子どもに対してどの程度、この栄養を充足させることができているかは、チェックリストの「SPQ_excel_ver.xlsx」で確認することができます。この栄養が充足されると子どもの無意識の思考には「私は自分で問題を解決できる」というものが生じます(8才以降)。一方、不足する場合には「私は自分で問題を解決できない」という無意識の思考が生じることになります(同じく8才以降)。このことから親の手助けに対する態度は、子どものチャレンジ精神や探究心に対して非常に大きな影響力を持っていると言えます。

(詳しくは→子どもが生まれてから自立するまで使える子育てメタ理論とは?

 

 

よくある反論への回答

ここで改めて、手助けについて起こりえる反論とそれに対する回答を書き出してみます。

Q. このような手助けを大人がすると、子どもが自分で問題を解決する能力が培われないのでは?

A. そんなことはありません。例え大人が手助けをしても、子どもは子どもの力量の範囲内で問題を解決しようとしています。もし水泳やレゴの例において大人が一切手助けをしなかった場合にどうなるかというと、難しすぎて子どもが活動をやめてしまう可能性が非常に高いです。難しすぎる所は大人の工夫で良いやり方を考案するか、大人が代わりに行うことによって、子どもは自分で解決可能な問題に取り組み続けることができるのです。子どもも大人も、適切なレベルの問題に取り組みながらレベルを徐々に上げていくことが上達のコツであることに変わりありません。

 

 

まとめ

  • 手助けをする際はフェイドアウトするためのプランを考えましょう。大人の手助けをフェイドアウトすることによって子どもの自立性を保ち、依存的になることを避けることができます。
  • フェイドアウトのプランを考える際には、課題分析と難易度の設定が役に立ちます。
  • 適切な手助けの手法を用いることで、子どもにとって適切な難易度でかつ興味を引く活動を提供することが可能となります。

今回は手助けについての基本的な手法を見てきました。そのほかの手助けの方法についてはまたの機会に。