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発達障害の支援において、なぜ自尊心を保つことが最重要なのか?

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発達障害の子どもや成人の支援において「自尊心を保つことが大切だ」「二次障害を起こさないことが大切だ」という表現をすることがあります。では、なぜ、これらのことが大切だと言われるのでしょうか?自尊心の重要性と、それを支える具体的な方法論について理解しましょう。

 

注:この記事でいう発達障害の人とは、発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、学習障害)であると診断されている人、または本人にも周囲にもまったく自覚がない人の両方を意味します。

 

自尊心とは?二次障害とは?

最初に、自尊心と二次障害という言葉について説明します。この二つの言葉は違う意味に見えますが、実は本質的には同じことを意味しています。

 

自尊心

自尊心とは、自分自身を大切にする気持ちのことです。自己肯定感や、自己効力感という言葉も自尊心に近い意味合いの言葉です。より身近な言葉には、プライド、自信、などがあります。

あなた自身が、自尊心が保たれている人なのかどうかを確かめるために、次の思考が自分にどの程度当てはまるか考えてみてください。これは自分自身に対する無意識の思考です。

「私は、他の人と同じように価値がある人間だ」

もしこの思考に「当てはまる」「だいたい当てはまる」と感じれば、自尊心が保たれていると言えるでしょう。逆に、「あまり当てはまらない」「ぜんぜん当てはまらない」と感じれば自尊心が低い状態にあるかもしれません。(また、もし「自分は他の人よりも価値がある」という考えがあるとしたら、実はそれは自尊心のなさを自分で補っていることが原因かもしれません。)

自尊心が低い人は、これまでの経験の中でいろいろなことに失敗を重ねたり、他者から拒絶されるような経験をしてきている場合がほとんどです。逆に自尊心が高い(保たれている)人は、他者から受容的な関わりを受けている場合が多いです。

 

二次障害

では二次障害が何かと言うと、端的には「自尊心の低下と、それに伴う行動上の問題」を指します。例えば自尊心が低下することによって、暴力をふるう、いじめの加害者になる、他者と関わることを避けたりする、悪い意味でプライドが高くなるなどのことが起こります。

なぜ人は自尊心が低下することによって暴力的になるのでしょうか?自尊心が低くなる(つまり「自分には価値がない」と考えている)ことによって感情が荒れやすくなるという側面と、腕力で相手の優位に立つことによって自分の価値を確かめることができるという側面があります。いじめの加害者になる場合もメカニズムは同じです。このようなやり方で他者の優位に立つことによって「自分には価値がある」と無意識に確かめています。このようなやり方を「過剰補償」と言います。周囲からこのような人を見ると自尊心が「高過ぎる」状態に見えるかもしれません。

次に他者と関わることを避けるメカニズム(「回避」といいます)について考えてみましょう。他者との関わりを避ける人の場合も無意識に「自分には価値がない」と考えている点では、暴力を振るったりいじめの加害者になる子と同様です。異なる点は、自分には価値がないから「その価値のなさを感じないで済むために他者との関わりを断つ」という点です。

悪い意味でプライドが高くなる状態とは、失敗を恐れるがあまり新しい活動ができなくなる、他者からの提案を受け付けることができなくなる、という例があります。失敗したり、他者からの提案を受け入れることが即、自分の価値のなさを連想させるように心が勝手に働いてしまうからです。

 

自尊心の低下は精神疾患のリスクを高める

自尊心の低さは心の問題を生じさせるリスクを高めることがさまざまな研究から分かっています。自尊心が低い人はそうでない人よりも、不安が強まったり、抑うつ的になったりすることが多いです。うつ病になる人の割合を比較すると、発達障害のない人で10%程度であるのに対し、発達障害のある人は50%もの人がうつ病であることが調査から分かっています。不安や抑うつが重症化すると、死ぬことを考えるようになったり、本当に自殺未遂に至いたる場合もあります。

このように、自尊心が低下することによって行動や心の問題である二次障害が生じるようになっていきます。発達障害の支援において自尊心を保つこと、二次障害を起こさないことが重要だと言われる理由はこのような事情があるためです。自尊心を保てるようにサポートしていくことは、その人の一生の幸福感にも関わる極めて重要なことであると言えます。

 

 

なぜ、発達障害の人は自尊心を保ちにくいのか?

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発達障害のある人は、そうでない人よりもずっと自尊心を保ちにくいことがさまざまな研究から分かっています。逆に、発達障害があるにも関わらず自尊心が保たれている人の場合、何らかの形で適切な関わりを提供してくれる人が周囲にいるケースが多いようです。発達障害の人が自尊心を損ないやすい理由は家庭や学校で、次のような状況におかれることが多いからです。

大人から叱られやすい

発達障害のある人は発達障害がない人よりも、家庭でも学校でも叱られることが多いことが調査から分かっています。

叱られる理由は、他者との関わり方に不器用なところがあったり、興味関心が変わっているとみなされたり、行動に突飛に見える点があるからです。本来必要なのは、ニーズに合致した支援(※)のはずですがなかなかそれがなされないで、単に叱られるだけだったり、尊重してもらう経験を持ちにくい現状がまだまだあるようです。このような現状が、自尊心を育ちにくくしています。

※ここでいうニーズに合致した支援とは、他者との関わりを良好にするためのソーシャルスキルトレーニングを行う、興味関心や学習スタイルをうまく利用した勉強の進め方をする、興味関心を尊重した休み時間の過ごし方を提案する、などが考えられます。

他の子どもからいじめられやすい

発達障害のある人は発達障害がない人よりも、いじめられるリスクが高いことが調査から分かっています。

いじめは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす原因となる深刻な体験です。そのような深刻な症状を引き起こす体験の例には、東日本大震災に被災することや、災害の悲惨な映像を視聴することがあります。

また、PTSDの症状には、突然恐ろしい光景がフラッシュバック(生々しく頭の中で再現される)する、突然怒りがこみ上げる、眠れなくなる、などがあります。日常生活を送る上で大きな障害になるため、学校生活や仕事ができなくなってしまうこともあります。

ですからいじめは経験しないで済むならしないに越したことはありません。「いじめられるのも経験のうちだから経験した方が良い」という考え方は、「災害に被災するのも経験のうちだから経験した方が良い」という考え方に似ています。いじめも被災もPTSDを引き起こす原因になる点で同じであることをふまえると、「いじめられるのも経験のうち」という考え方は不合理な考え方だと言えるでしょう。

いじめは、被害者の自尊心を大きく傷つけます。そして見逃されがちですが実は、いじめ加害者の子も自尊心が低いです。いじめという問題に対しては、被害者と加害者の双方の自尊心をケアする方策が必要とされています。

参考:発達障害といじめ①:いじめの定義といじめの7種類を知りましょう

 

 

自尊心のために必要なのは、ニーズを理解しそれを満たすこと

教育や支援の大前提

大前提として、あらゆる人には等しく人間としての尊厳(価値)が備わっていることを理解することが大切です。たとえ、どのような種類の障害があろうが、勉強ができようができまいが、どこの国に生まれようが、肌の色がなに色であろうが、お金を持っていようがいまいが、全ての人が等しく人間としての尊厳を備えているのです。教育や支援に当たる人は人権に関する理解を持った上で、ニーズにあった教育や支援をしていく必要があります。

発達障害のある人に効果を発揮する教育や支援の方法は多数開発され実践されています。過去に私が紹介したものを中心にリストアップします(支援方法はここで紹介するもの以外にも多数あります)。

低年齢向け(幼児から小学生)

 

中学生以上〜成人向け

 

支援する家族や先生向けの基礎知識

 

まとめ

  • 自尊心は人が生きていく上で最も大切なものの一つです。発達障害があろうがなかろうが、自尊心は生きていく上で絶対に欠かすことができないものです。
  • 自尊心が失われることによって、個人の幸福は失われ、精神障害のリスクは高まります。
  • あらゆる種類の支援は自尊心の発達や回復を念頭に置きながらなされる必要があります(負の強化ではなく、正の強化を使いましょう)。

 

ご支援のお願い

現在、軽度発達障害の子どもの自尊心を保つための「子育てタイプ分析ツール」に関するクラウドファンディング(ネット上での寄付金集め)を実施しています。

このツールを使うと、親の子どもに対する関わり方のタイプが分かるようになり、子どもの自尊心を保ちやすくなります。自尊心とは、自分に自信を持つことです。「自分は人から愛してもらえる人間だ」という考えが心にあるのが自尊心がある状態です。自尊心があると、うつ病にかかる危険性を下げることができます。

このツールは発達障害がないお子さんを育てるご家庭でも利用できます。ご支援よろしくお願いいたします。

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