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個性を自立力にするために興味を広げるべし

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いじめ被害と震災がもたらすダメージは同等だった…どちらも心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす

いじめ

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いじめというものが人に与えるダメージの大きさがどのくらいのものであるのか、人によって捉え方が大きく異なると私は思っています。

どのくらい違うかというと、ある人は「いじめられるのも経験のうちだから、一度や二度は経験があってもいいかもしれない」と捉えているかもしれません。一方、別の人は「絶対にいけない」と捉えていることもあるかもしれません。

そこでこの記事では、いじめが人に与えるダメージの大きさをリアルに捉えるために、いじめ被害と東日本大震災などの被災それぞれによって、どのくらい心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれる心の障害が起こるのか比較してみます。 

 

▼PTSDとはどのような症状か?

PTSDの症状は、眠れなくなる、食欲がなくなる、突然怒りの感情がこみ上げる、無力感に襲われる、フラッシュバック(悲惨な状況に置かれた時の映像や感情がよみがえる)、などがあります。

例えば電車の事故に遭う経験をすると、電車に乗ろうとする際にこのような症状が表れることがあります。そして症状が現れるせいで、電車にのることができなくなります。現代日本で生活していく上で電車に乗れなくなると生活そのものができなくなってしまいます。

これと同様に、学校でいじめられた人は学校にいくことが辛くなってしまうかもしれません。地震があった時に家の中にいて閉じ込められた経験がある人は、家の中や狭い場所にいることが辛くなるかもしれません。

 

▼東日本大震災でPTSDになった医療チームのメンバーの特徴とは?

東日本大震災の医療活動(2011年3月11日〜22日)にあたったメンバー173名のうち、PTSDの症状が現れた人の特徴は2つありました。

  1. 医療活動中に、非常に強い精神的苦痛を感じた
  2. 震災関係のテレビ番組を一日4時間以上視聴した

以上のことから、実際に被災地で救援活動を行うだけでなく、震災関連のテレビ番組を長時間試聴することによってもPTSDの症状が表れることが分かります。

また、医療チームの方だけでなく一般市民でも被災した方やテレビを長時間視聴した方の多くにPTSDの症状が表れたことが推察されます。

このことから東日本大震災は、PTSDという重い心の障害を人にもたらすものであることが確認できます。多くの方が、「多くの不幸やPTSDを引き起こすような災害は起こってほしくない。仮に起こったとしても被害を最小限に抑えられるだけの対策を講じて欲しい」と考えるはずです。

 

▼いじめられた生徒のうちでPTSDになる子の割合とは?

①ノルウェーの中学2〜3年生の男女963人を調べた調査があります。この調査で「いじめられた経験がある」と答えた生徒のうち、男子で27.6%、女子で40.5%にPTSDの症状が現れていたことが分かりました。

 

②ちなみに、日本では毎年どのくらいのいじめが認知されているかというと、2006年から2011年の期間で毎年8〜12万件が認知されています(小中高校の合計)。これはあくまでも明るみに出たいじめを数えたものなので、周囲の大人が気づいていないものを含めるともっと多くなることが予想されます。

 

そして、参考のために①と②を組み合わせて概算すると、、、

(男子女子がそれぞれ5万人と仮定)

男子:5万人 × 27.6% = 13800人

女子:5万人 × 40.5% = 20250人
       男女合計 = 34050人

これだけの子どもが、毎年学校でPTSDを発症しているという試算になります(あくまでも試算です)。震災と異なるのは、いじめは毎年毎日起こっているという点です。

 

▼それでもまだ、いじめられるのも必要な経験?

以上のことから、「いじめられるのも経験のうちだから、一度や二度は経験があってもいいかもしれない」という考え方の妥当性について考えてみましょう。

いじめ被害は心に与えるダメージの大きさの点で震災と同等あることが分かりました。もし「いじめの経験は何回かはした方が良い」というのであれば、「震災だって経験のうちだから被災した方がいい」という不合理な考えが導かれてしまいます。ですが「被災した方がいい」と考える人はまずいないでしょう。なぜなら震災がどれだけ悲惨なものか分かっているからです。

今日も世界中で、震災と同等の心のダメージが発生しています。いじめとは、被害者の半径1メートルの範囲に局地的に生じ続ける大震災なのです。

 

参考とした文献 

  1. 国立病院機構災害医療センター(2012). 東日本大震災の救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査-災害後のPTSD予防に向けて-. 
  2. いじめにあった生徒の何割がPTSDにかかるのか?

  3. 平成26年版 子ども・若者白書

 

▼まとめ

  • いじめが被害者の心に与えるダメージの大きさは正確に捉えられているとは言いがたい現状があります。
  • しかし実際にはいじめと災害は、心に与えるダメージの大きさは似たようなものであると言えます。PTSDという極めて深刻な症状をもたらします。
  • いじめの発生を予防したり、起こってしまったいじめをケアするための予算や人的配置が今よりももっとなされる必要があるでしょう。

 

 

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