自閉症スペクトラム障害やアスペルガー症候群の一部の方には、感情が後から湧いてくるという性質を持っている人がいらっしゃいます。
状況としては例えば、学校でクラスメートから何かを言われたりされたりした時に、その時点では特に何とも感じていないのですが、家に帰った後や翌日になってから「あの時、すごい嫌だった」という感覚が本人の中に生じてくることがあるようなのです。
そういう特性があることを知らない方にとっては、一見、理解が難しいですが、実は私たちは誰でも似たようなことを経験しています。
寝て起きた後のことを思い出して!
誰でも経験しているこんなことがあると思います。
- 夜、寝る前にはイライラした気持ちがしていたが、寝て朝になったら気持ちがスッキリしている
- 前日までは頭で整理できていなかったことが、寝て起きたら整理されている
こういうことに身に覚えはありませんか?発達障害のある方で、後から感情が感じられるという方の場合は、このような傾向が他の人よりも強いのだと捉えることができます。
いじめ対策には「後から湧いてくる感情」への対応も必要に
「後から感情が湧いてくる」という性質が、いじめを受けている場面で生じると事態が悪化する恐れがあります。「後から感情が湧いてくる」性質を持っている架空のA君を例にすると、
- 「A君がいじめられている」と、他の生徒が先生に伝える
- 先生がA君に「大丈夫か?嫌じゃないか?」と確認すると、A君は「別に平気だよ」とケロッとした表情で言う。この時には、本人にとって本当に何でもないこととして感じられている。先生は大丈夫だと理解して、特に対応を取らない。
- A君は自宅に帰った後に「すごい、嫌だった・・・」と感覚が生じてきて苦しむ
- このようなことが繰り返される
一例ですがこのようなことが生じる恐れがあります。詳細は以下の本に詳しく書かれています。
また、以下の本は、子どもに対して「どのようなことをいじめというのか?」「いじめられたときに、その場でどうすればいいのか?」「誰に何をしらせればいいのか?」といったことについて、分かりやすく学べるようになっています。小学校低学年以下用と、小学校高学年〜中高生用があります。