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共感性の障害という共通点:アスペルガーとサイコパスは何が違うのか?

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アスペルガー症候群の障害の一つとして「対人的相互作用の質的な障害」と呼ばれるものがあります。もう少し日常的な表現に置き換えると「共感性の部分に課題がある」というような表現をする場合があります。状況に応じて、他者がどんな気持ちでいるのかが想像しにくいことを表現して、共感性の障害と呼ぶことがあるということです。

一方で、「サイコパス」と呼ばれる人々がいます。これは、凶悪犯罪の犯人がサイコパスだった、というような不本意な文脈で登場することが多い人々です。サイコパスも共感性が障害されていると説明されます。サイコパスの場合は、嘘をつくことに抵抗がない、良心の呵責・罪悪感がない、他者が苦しんでいてもなんとも思わない(むしろ喜ぶことがある)、というような意味で共感性が障害されていると説明されます。そのため、刑務所で服役している囚人の中にはサイコパスの割合が非常に多いと言われています。

 

「サイコパス・インサイド 」の著者であるジェームス・ファロン氏は脳の研究者で、サイコパスの脳がどのようなパターンで活動しているかを調べている中で、自分自身の脳画像が典型的なサイコパスの脳であることが判明しました。

本書の中で彼は向社会的サイコパスという人々が社会にはいて、自分もその一人なのだろうと推測しています。というのも、彼自身の60年の人生を振り返った時に、確かに楽しくなって羽目を外しすぎたようなことが何度もあったのですが、凶悪犯罪は起こしていないからです。また、彼は研究で高い業績を上げたり、寄付行為も行っています。

犯罪に手を染めるサイコパスと、向社会的サイコパスの共通点と違いは何なのか?共通点は、生まれながらの脳の性質としてサイコパスの脳というものがあるため、生まれ持った脳の性質は共通しているといえます。一方で違いは、育った環境であるというのが、種々の調査をした結果のファロン氏の見解です。つまり、育てる環境を適切なものにすることによって、サイコパスの脳を持って生まれたとしても、それを有効活用して向社会的サイコパスとして生きていくことが可能であるということです。ファロン氏の家系を辿って行くと、犯罪者ばかりだったことが明らかになるのですが、ファロン氏はそうなっていない。遺伝要因や脳は明らかにサイコパスで、サイコパス尺度でも高得点なのに、彼は犯罪者になっていない。

ファロン氏とは逆に「育つ環境は関係ない」とする立場もあり、サイコパスの研究の第一人者であるロバート・ヘア氏がいます。彼は「診断名サイコパス」の中でエーリエルとアリスという二卵性双生児の姉妹の、アリスが過激な犯罪(薬物乱用、売春など)に手を染めているのに対して、エーリエルは社会的に適応していることから「育つ環境は関係ない」と述べています。(ちなみにサイコパス・インサイドの原著が2013年発行、診断名サイコパスの原著が1993年発行という時間差も両氏の見解の違いに影響していると考えられます)

 

 

 

私自身の見解としては「適切な環境」をどう定義するかが重要であると考えています。というのも、一般的な子育ての仕方ではどうやってもやりたい放題になってしまうADHDの子どもに対しては、「ADHDの子どもにとって適切な環境」があることからも、サイコパスの子どもを育てるための方法論というのがあると考えられるからです(他の文献も当たっている現状では、基本的にASDやADHDの子どもに対するのと同じような方法論がある程度は効果的であると私は予想しています)。 

 

アスペルガーとサイコパスの違いとは?

結論から言うと、アスペルガーは他者の思考を想像する力の障害で、サイコパスは他者の感情を想像し同じ気持になることの障害、と言えそうです。ジェームス・ファロン氏はこれを、アスペルガーは冷たい認知(思考)の障害、サイコパスは熱い認知(感情)の障害と呼んでいます。

さらに突き進めて考えていくと、冷たい認知と熱い認知の両方が正しく働いている共感性というものは、【他者の思考を正しく予測し、他者と同じ気持を自分に生じさせること】と言えるでしょう。逆のパターンでは冷たい認知と熱い認知の両方がうまく働いていないケースもあることでしょう(IQが比較的低いサイコパスはそうかもしれない)。

アスペルガーは、他者の考えを状況の中で想像することに課題を生じますが、その状況の中で自分が原因となって相手がネガティブな感情になっていることを知らされれば罪悪感や決まりの悪さを感じます。また、ルールについては基本的に厳密な態度で守ろうとします。

一方、サイコパスは他者の考え(多くの場合、どうすれば自分が相手に対して魅力的に映るか)を読み取って、非常に魅力的に見えるように振る舞うことができます。魅力的に見えるためには平気で嘘をついて話をでっち上げることもできます。平気で嘘をつけるというのは「良心の呵責がない」ことの現れであると説明されますし、一般的な社会通念(ルール)である「嘘をついてはいけないというルール」をいとも簡単に破れるといえます。

そして現状では精神障害の診断基準であるDSM-5においてサイコパスというカテゴリーはありません。反社会性パーソナリティ障害をサイコパスと同義であるとして暗黙に扱っているのですが、それでは向社会的サイコパスの存在が抜け落ちてしまいます。これらを考慮するといずれはサイコパスが神経発達障害の一種として診断基準に組み込まれていく流れとなるかもしれません。

 

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