ADHDの子どもとそのきょうだいの関係
調査の目的:この研究は、ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもがいる家庭のきょうだいが、ADHDの子どもとそれ以外の子どもに対してどのような関わりをしているのかを調べるものです。調査では同時に、ADHDの子どもとそのきょうだいが、行動面と精神面の両方に問題を抱えていないかを調べましました。
調査の方法:参加者はADHDの子ども77人と、ADHDではない子ども11人(比較群)です。きょうだいの関係を調べるために用いたのは、母親のレポート、セルフレポート、きょうだいからのレポートの3種類です。
調査の結果:階層線形モデルを用いて3種類のレポートを組み合わせました。その結果、ADHDの子どもは、きょうだいやADHDではない親戚の子どもとの関係が対立しているケースが多いことがわかりました。ADHDの子どもの問題行動との関係が明らかになった事柄は、きょうだいとの関係における温かさの欠如や対立です。ADHDの子どもの精神的な問題は、きょうだい関係における温かさの欠如と関係があるようです。
結論:ADHDの子どもの社会的障害の理論には、きょうだい関係に関するものを組み込む必要があると言えるでしょう。
論文の原題:Sibling Relationships Among Children With ADHD
▼荒川コメント
ADHDのある子ども本人とその周りの子どもに対するこのような影響を理解した上で、必要とする子どもに必要な支援を、可能な限り迅速に提供してく必要があります。
そのために、幼保や学校、療育機関、医療、研究者がどのように協同活動していくかが問われていると言えます。