オーストラリアの高校生の自己効力感と学業成績と非行
Self-Efficacy and Academic Achievement in Australian High School Students: The Mediating Effects of Academic Aspirations and Delinquency
この調査は、自己効力感と向上心、社会心理的な影響が、学業成績に対してどのように関係するのかについて調べたものです。調査の対象となったのは、オーストラリアの2都市10校の935人の生徒(11〜18歳)で、自己効力感と、勉強の向上心、非行について調べられました。
用いられたのは、子ども自己効力感テスト、非行セルフリポート、子ども勉強向上心テストです。テストは年度の半ばに行われました。勉強の成績のために、遊ぶことをガマンすることや自分の欲求をコントロールできると考えていることとがどのように関係しているのかを、構造方程式モデリングを用いて分析しました。分析の結果、学業の効力感とガマン効力感があると非行を起こしにくくなり、学業成績が高まることが分かりました。学業や対人関係に対する自己効力感があることによって、学業の向上心と達成が起こるのです。(しかしこのモデルでは、学業の向上心と学業の達成には明確な関係がないようです。)
▼荒川コメント
子どもがガマンすることを覚えるための方法について、大人はよく考える必要があります。子どもがADHD(注意欠陥多動性障害)の気質(落ち着きがないこと)を生まれつき持っている場合、そうでない子どもよりもガマンすることに多くの困難を感じることになります。もしそのような子どもに対して、「ガマンしなさい!」という激励を繰り返していったら、その子どもの学業成績は上がるどころか逆に下がっていくでしょう。また、非行に走ってしまうケースも出てくるかもしれません。
大人はいつも「どう工夫するか」について考える必要があります。例えばトークンエコノミーなどの手法を利用しながら、イスに座って、物事に取り組める時間を徐々に増やしていくという方法をとることがとても大切になります。
参考↓