産後うつになりやすい条件と防ぐ方法
論文の原題:Antenatal risk factors for postpartum depression: a synthesis of recent literature
要約の意訳
産後うつは10〜15%の女性に起こると言われている病気です。産後うつは、女性本人が苦しいだけでなく、育児や家庭生活に支障を来すようになってしまう深刻な病気です。この調査では、産後うつになる可能性を高める要因について調べます。(中略)。
14000本の論文を調べた結果次のことが分かりました。産後うつになりやすい条件は、妊娠中のうつ病があること、妊娠中に強い不安があること、妊娠中や産後すぐの期間にストレスが多い経験をすること、周りからの協力を得にくいこと、過去にうつ病になったことがあること、というものでした。(中略)。
▼産後うつにならないために
何が不安なのか、どうすれば不安が解消されるのかについて考えたり調べたりしてみましょう。また、不安があるときに周囲に相談してみることによって、手助けが得られることもあるかもしれません。仮に以前にうつ病になったことがあるとしても、不安を軽減しておくことによって、産後うつになる可能性を下げることができるでしょう。
▼抗うつ薬を飲む?飲まない?
うちの奥さんも産後うつになりました。抗うつ薬を飲むと、赤ちゃんに母乳を与えることができなくなります。医者にかかるかどうか考えたときに彼女が心配したのは、母乳で育てないことによって子どもがうまく育たないのではないかということでした。このように心配している彼女に対してやったことは、抗うつ薬を飲むことの利益と損失の計算です。
○薬を飲むことの利益
- 気分の落ち込みを軽くすることができる
- 落ち込みが軽くなることによって、子どもとの関わりを持つことができるようになる
- 子どもと関わりを持てる状態を保つことによって、子どもの発達への悪影響を減らすことができる
×薬を飲むことの損失
- 母乳を与えることができなくなる
- 母乳を与えられないということは、子どもがうまく育たないのではないか?
↑2への反論。例えば生後3ヶ月から保育園に預けられる赤ちゃんもいる。そのような赤ちゃんは日中、母乳を飲めないこともあるが、ちゃんと育っている。また、母乳が出にくくて元々与えられないお母さんもいる。このように与えられる母乳が少なかったり、全くないなかで育った赤ちゃんはいるけれど、だからといってうまく育たないわけではない。
そして、利益と損失の差し引きをしたときに、子どもとの関わりを保てることの利益の方が大きいと判断して服薬することにしました。この判断をしてからすでに2年近く経っていますが、大きな問題は起こっていません。
▼保育園を利用させてくれることも
病院にかかって産後うつであると分かったら、市町村にそのことを相談しましょう。ぼくが住んでいる相模原市の場合だと、保育園で優先的に預かってもらうことができました。おかげでとても助かっています。このような制度があるかどうかを確認するためにも、相談することをお薦めします。
関連記事:赤ちゃんの性格が難しいと、産後うつになりやすいのか?