ADHDの子どもに長期に薬を使うと、どんな良い効果と副作用があるのか?
要約の意訳
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもへ2年間にわたって薬物療法を行った調査があります。この調査の結果、薬によってADHDの症状(不注意、落ち着きがない、怒りっぽい)や反抗することが改善されました。また、学校の勉強や、親や友達との関係も良くなりました。この2年間の間に、薬への耐性ができて効かなくなる問題はなく、副作用は小さなものでした。
薬物療法をしているADHDの子どもとADHDではない子どもと比較すると、学業、仕事、対人関係、感情面ではやはりADHDのこの方が劣る傾向があるようです。しかし、薬物療法を行っているADHDの子どもと薬物療法をしていないADHDの子どもを比較すると、行っている子どもの方が学業、仕事の面でよい傾向があるようでした。また、車の事故が少なく、社会性が高く、自尊心が高いということでした。
長期の服薬で心配な副作用には、低体重低身長、薬物乱用、2つがあると言われていました。このような副作用があるのかどうかついて調べてみると、次のようなことが分かりました。
低体重低身長:一時的に体重と身長の増加がしにくくなることがありますが、その後、リバウンドして再び増加するようになるという調査があります。また別の調査では、体重と身長への影響はないという結果が出たこともあります。
薬物乱用:薬物療法を行った方がむしろ、将来に薬物乱用をする危険性が減ることがわかりました。
▼荒川コメント
ADHDの人の場合、薬との付き合いは長いものになることが多いです。そうであるからこそ、長期間使うとどのような影響があるのか気になります。この論文を見る限り、他の薬害はないようです。この調査によって、ADHDの子を持つお母さんがいくらかスッキリできたらいいのですが。