自閉症やアスペルガーの生徒がいじめられないためには何が必要なのか?
通常学校に通う自閉症スペクトラム障害の生徒は増えています。通常学校に通う際に心配になるのはいじめです。
そこでこの調査では、自閉症スペクトラム障害の生徒が受けている対人関係のための支援と、いじめられる頻度について、イングランドの中学校12校を調べます。
この調査に協力してくれたのは、自閉症スペクトラム障害の生徒40人、読字障害のある生徒40人、どちらの障害もない生徒40人です。
結果は、他の2つのグループの生徒と比べたときに自閉症スペクトラム障害の生徒はいじめを受ける頻度が高く、周囲(両親、クラスメート)から得られる支援も少ないということでした。ただし、先生から得られている支援には3つのグループに違いが見られませんでした。
データを分析して分かったことは、いじめを減らすために必要なのはクラスメートからの手助けだということでした。
※自閉症スペクトラム障害(ASD)には似ている表現が多数あります。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などがあります。
▼荒川コメント
- 自閉症スペクトラム障害の性質として、元々、友人を作る方向に関心が向かない傾向があります。このような傾向が、結果的にいじめを受けるリスクを高めることになっているという分析でした。そうなると考える必要があるのは、自閉症スペクトラム障害の生徒の対人関係への関心を高める工夫や、「助けを求める」というソーシャルスキルの練習となるのでしょうか。かなり奥深い分野ですのでじっくりとリサーチしていきます。
- いじめはPTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因になる体験です。いじめの被害(加害)をどのようにして減らすかは重要な検討事項です。
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