抗うつ薬とカウンセリングには効果の違いがあるのか?

うつ病は重い病気です。仕事や学業、対人関係が難しくなることもありますし、自殺のリスクもあります。うつ病の治療には
1:抗うつ薬2:カウンセリング(この研究では認知行動療法)
3:抗うつ薬とカウンセリングの組み合わせ
という3種類のやり方があります。それぞれにどのような違いがあるのでしょうか?
この調査では、この3種類のやり方を3つのグループ(合計681人のうつ病患者)に対して行い、効果にどのような違いが出るのか確認しました。
▼どんな結果?
子どもの頃にトラウマがある患者の場合、抗うつ薬だけの場合よりもカウンセリングだけの場合の方が効果があることがわかりました(子どもの頃にトラウマとなる体験は、親が亡くなること、身体的/性的虐待、育児放棄、といったものです)。また、両方の組み合わせはカウンセリングのみの場合よりもいくらか効果が高いようです。
基本的には抗うつ薬とカウンセリングの両方の組み合わせが最も効果的なようです。このことから、うつ病の治療においてカウンセリングが果たす役割はとても大きいといえるでしょう。
▼薬とカウンセリングは、浴槽と蛇口の関係

脳内部質がちょうどよい量、脳内にあるのが健康な状態です。うつ病の人の場合、脳内物質が少なくなってしまうことで、気分が落ち込んでしまいます。薬とカウンセリングの関係は、蛇口と浴槽の関係に例えられます。
薬:浴槽の栓
カウンセリング:蛇口
脳内物質:お湯
うつ病の人は浴槽の栓をしっかりとふさいで、お湯が少なくなることを防ぐ必要があります。お湯が排水されるのを防ぐために使われるのがSSRIやSNRIという種類の薬です。薬を飲むとお湯が排水されにくくなって、ちょうどよい量のお湯が浴槽に貯まります。これは、安定した気分が得られることを意味します。
一方、カウンセリングは浴槽にお湯を注ぐ蛇口です。気分が落ち込んだりうつ病になっているときは、この蛇口からお湯が出にくくなって、結果的に浴槽のお湯が少なくなってしまいます。これはつまり、気分が落ち込みやすくなるということです。カウンセリングを行うことによって、蛇口からでるお湯の量を安定させることができるようになります。
このように考えると、薬とカウンセリングが両方必要なものであることがわかりやすくなるでしょう。
▼「薬をやめてはいけない」と言われる理由
「薬をやめてはいけない」と言われる理由はこれまでの説明に関係します。カウンセリングをしていない状態で薬をやめたら、入ってくるお湯の量は少ないのに、多くのお湯が抜けていってしまいうことになります。ですからカウンセリングをしない限り、薬をやめるのは懸命ではありません。
カウンセリングを行う上でネックになるのはお金が多くかかることです。そのため、カウンセリングを受けるのをちゅうちょしている人もいるはずです。一度かかりつけのお医者さんで、カウンセリングの内容や料金について尋ねてみても良いかもしれません。