自閉症スペクトラム障害への食事療法はどの位の効果があるのか?

代替療法と呼ばれるものがあります。発達障害の症状を低減させる目的で行われる食事療法もその一つです。食事療法を行うと自閉症の症状に効果があると言われています。食事療法はどの位の人に効果があるのでしょうか?
食事療法は、小麦製品に含まれることが多いグルテンと、乳製品に含まれることの多いカゼインを食事から除去することによって行われます。グルテンフリー、カゼインフリーとも言います。
今回参考にする調査では、すでに行われた14の食事療法の研究をまとめています。調査に協力しているのは188人の自閉症スペクトラム障害の子ども(2〜17歳)です。
▼どんな効果があると言われているのか?
自閉症スペクトラム障害の症状であるコミュニケーション上の課題に効果があると言われています。子どものアイコンタクトの増加、人との交流の頻度の増加があると報告している研究があります。また、落ち着きのなさやパニック状態になる頻度の減少などの効果があるとする研究もあります。
▼どの位の期間行うのか?
食事療法を続ける期間が効果を確認するために重要な要素になります。続けた期間が4日から3ヶ月間行った人では効果が出ず、4ヶ月半から4年間続けた人では効果が出ることがあるようです。
▼どの位の人に効果があるのか?
14の研究のうち、全員に何らかの効果が出たという研究は 7つ、全員に効果がなかった研究は4つ、効果が出る人と出ない人の両方がいたという研究は2つ、よくわからないという結果が1つでした。
▼荒川コメント
今回は14の食事療法の研究のまとめを読みました。読んでみた結果、効果を判断するのは難しい点が多いと感じました。判断が難しい理由は次の通りです。
- 調査のやり方や、症状の改善の定義がまちまち
- 期間が長いため他の要因にも左右される:例えば数年という期間に食事療法を行っていた場合、同時に別に行われている教育によっても子どもの行動に変化が出てくるはずです。ですから食事療法そのものの効果なのかどうか判断できないという課題があります。


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