アスペルガーの子のためのコミック会話の実例:お金がないときは何も買えない

以下では、アスペルガーの子どもと一緒にお金を持たずに散歩に出かけた先で「じゅーす、かって」と要求されたときに「お金がないときは、何も買えない」ことを説明するために作ったコミック会話(見える会話)について紹介します。コミック会話は、アスペルガーの子どもにも理解しやすく視覚的にコミュニケーションするための方法です。
コミック会話を描いたページ全体の構成

①〜③のパーツで構成されています。
①お金がないから自動販売機でジュースが買えない
②家でママにお金をもらう
③もう一度自動販売機に行って買う
ここで重要なのは、「買えない」という事実だけで終わらせないことです。「どうすると買えるようになるのか」 まで伝えることによって、子どもの混乱が低減されます。
①お金がないから自動販売機でジュースが買えない
以下のマンガを見せながら、次のように説明します。
「今、○○君はお金を持っていません。お金がないので、自動販売機でジュースを買うことができません。」
マンガでは100円玉にバツ印を付けて、「お金がない」ことを表しています。表情も悲しげにしてあります。
②家でママにお金をもらう
以下のマンガを見せながら、次のように説明します。
「お家に帰ったら、○○君はママからジュースを買うためのお金をもらいます」
ママ(左側の背が高い方)が100円玉を差し出し、子ども(右側の小さい方)がお金を受け取ろうとしています。
③もう一度自動販売機に行って買う
以下のマンガを見せながら、次のように説明します。
「お金を自動販売機にいれると、ジュースが出てきます。○○君はジュースを飲むことができます。お金があると、ジュースを買うことができます。」
子どもが缶を持って笑顔になっている絵を描きます。これで「買えた」ことを表現しています。
まとめ
- 家の中や外出先で、子どもが急にガンコになったり怒り出すことがあります。そのような時には、いくら言葉で説明しても伝わりません。
- 怒っていたりパニック状態にあるときは、なおさら言葉の理解が難しくなります。例えば「今は、買えない」と伝えたとしても、「今は」という条件を理解するだけの頭の体力が失われてしまっています。結果的に「買えない」だけを理解してパニックを強めることにもなります。
- 言葉で説明して伝わらないときには、コミック会話の手法を使って説明するとアスペルガーの子どもにも理解しやすくなります。コミック会話は、視覚的にものごとを理解する自閉症スペクトラム(アスペルガー、広汎性発達障害、自閉症)の子どもや成人に理解しやすいコミュニケーションの方法です。
注意点
自動販売機はいろいろな場所にあります。遠い場所にある自動販売機にこだわる場合には、別のページに「自動販売機はいろいろな場所にある」「ジュースはいろいろなお店に売っている」という内容のコミック会話を作る必要があるでしょう。

コミック会話 自閉症など発達障害のある子どものためのコミュニケーション支援法
- 作者: キャロルグレイ,Carol Gray,門 眞一郎
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2005/05/12
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