う、うるさい…声のボリュームを調節しにくい発達障害の子のためのコミック会話

息子(4歳)のデカい声を調節するために、コミック会話を利用してみました。見える会話はコミュニケーションのユニバーサルデザインです。この手法は子どもだけでなく成人にも用いることができます。
▼マンションで、早朝に大声を出す4歳児
そもそも、うちの子には次のような課題がありました。
- マンションである自宅で、遊びに興奮して大声を張り上げることがある。
- 特に、早朝や夜間で大声をあげると近所迷惑になる。
- 大きな声を出しているのを注意されると、怒りながらさらに大きな「キィー!!!」という声を出し始める
このような状況を改善するために、以下のように反省し打開策を検討しました。
- 考えてみると、事前に声の大きさについて注意されることがあると予告していなかった。「注意されることがある」という見通しがついていることによって、逆ギレ状態になるのを回避できるのではないか?
- 声の大きさについて注意する際に、代わりにどのくらいの大きさの声にしてほしいかを、どのように伝えるのが良いか?
このような思考を経て以下のようなコミック会話を作りました。
▼ 声の大きさを5段階に分ける
次のようにノートに文字と絵を描きました。声の大きさを1〜5 に分類しています。子ども用に作ったので、各レベルを動物に対応させてあります。
レベル5:ライオンの声。
ライオンは恐くて大きな声を出すという連想が働くことから命名しています。これは怒ってるときの声です。うちの子は「キィー!」という耳が痛くなるような声を張り上げます。
子どもへの説明:「ライオンの声は怒った時の大きくて怖い声です。この声を出すと、周りの人は怖くなったり嫌な気持ちになったりします。あまり出してはいけない声です」
レベル4:イヌの声。
イヌは大きな声で吠えます。遠くにいる人を呼ぶ時の声、または外で遊ぶときに出す大きさの声です。
子どもへの説明:「イヌは大きな声で吠えます。イヌの声は大きな声だから、おうちの外で出す声です。お家の中でイヌの声を出すと、隣の部屋で寝ている人(※)がびっくりして起きてしまいます」

※この場合、子どもに対して「隣人の存在」についてもコミック会話で説明する必要があるかもしれません。うちでは次のようなマンガで、寝ているかもしれない隣人について説明しています。
子どもへの説明:「イヌやライオンの大きな声を出すと、声は壁を通り抜けて隣の部屋で寝ている人にも聞こえます。寝ている人はびっくりして起きてしまいます。」
レベル3:ウサギの声。
ウサギは小柄でほどよい大きさの声の動物として設定しています。ウサギの声は、家の中で話をするときの声の大きさです。
子どもへの説明:「ウサギの声はちょうどいい大きさの声です。家の中でお話をするときに使います。」
レベル2:ネズミの声。
ネズミは小さくて声も小さい動物として設定されています。ネズミの声では、話している相手と顔を近づけてヒソヒソばなしをするときに使うような大きさの声です。
子どもへの説明:「ネズミの声はひそひそ話をするときの大きさの声です。(実際に顔を子どもに近づけながら)このくらいの距離でひそひそ話するときに使うといい感じです。」
レベル1:アリの声。
アリはとても小さいので声もとても小さい動物として設定されています。アリの声は耳の近くでのナイショ話をするときに使うのに適している大きさの声です。
子どもへの説明:「アリの声はナイショ話に使う時の声です。(実際に子どもの耳に近づいて)このくらいの声の大きさです。」
実際に室内で声が大きくなったときに何と言うか?
以上までが、事前に行っておく予告です。実際に声が大きくなってしまっているときには次のように伝えます。
「今、イヌの声になってきています。ウサギの声に戻してください」
事前に予告しておくこと、声の大きさの目安を設定しておくことの2つのポイントによって、家の中で大声にならずに済むようになります。結果的に、ご近所に迷惑を掛けたり、迷惑を掛けたせいで苦情を受けることが起こりにくくなります。
他人の耳のそばではネズミかアリの声で
うちの子は元々声のボリュームが大きいので、ナイショ話のつもりで耳元で大声を出すことがあります。その対策として、上記の声のレベル設定に加えて、小学生向けの図鑑に描いてある耳の構造を説明しました。
耳の中には鼓膜があって、耳元で大声を出すと鼓膜が破れて耳が聞こえなくなる、ということを視覚的に説明してあります。
参考
以下の本では、自分の感情の状態を自覚するための手法として、5段階で視覚的に理解する方法を紹介しています。声の大きさについても、今回私が作ったのとは少し違った内容で掲載しています。
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