注意されると「意地悪された」と勘違いする子どもが、恨みを溜めないための話
我が家の発達障害疑いの5歳児の特徴に、予想外のことや注意されることがあると「意地悪された」と勘違いするというものがあります。何か予想外のことが起こるのは彼に対する悪意が原因ではないし、私が彼に対して何か注意することがあるのも悪意ではありません(どちらかというと善意に分類されます)。
ですが、彼が思い通りにならない時の感じ方のデフォルト(標準)が「意地悪された」なので、このような勘違いが起こります。勘違いを放っておくと、本来なら持たなくていい「恨み」を蓄積していってしまい、様々な行動上の問題につながっていく恐れがあります。これを踏まえて、我が家ではこのように対応しています。
例えばこんな状況
彼(兄)が部屋にディスプレイしているおもちゃに対して、妹(2歳)が何か触ってしまっている状況がよく起こります。兄としては触られて、気に入った配置が変わってしまうのが許せないのでケンカが始まります。ケンカが始まってから終わるまでのパターンは、
1:兄が妹を突き飛ばしたりする(最近はだいぶ減った)
2:激怒しながら妹の悪口を言い続ける(ばか、大嫌い、いじわるetc)
3:親は、おもちゃの配置を元にもどして兄の気分を沈めようとする
4:それでも兄は気分が収まらずに妹の悪口を言い続けて、「そろそろ悪口やめなよ」と親から注意される
5:親から注意されると、兄は親に対して「パパのいじわる!」と訴える
だいたいこんなパターンです。いろいろなことが大分こじれた状況になっていきます。妹も確かに悪いことはしたのですが、ずっと悪口を言われ続けるのも可愛そうです(ずっと責められていると、謝らないで頑なになるという問題もあります)。悪口をずっと聞かされている大人としてもいい気分ではありません。そこで、私としては次のような対応をして、親の意図や状況の理解を促します。
親の意図や状況の理解を促す
状況がこじれているので、最初に一つずつ整理して説明していく必要があります。
(妹の事情について伝える)
父:妹はまだ小さいので、言葉で伝えてもまだ良くわからないでやってしまうことがあるよ。兄も小さい頃にはそういうことがあったよ。
兄:・・・。(気分はまだ怒っている)
・・・
父:壊れたものは、パパママが元通りに直すことができる。元通りになったら、妹を許してあげて。
兄:やだ!パパのいじわる!◯◯ちゃんいじわる!◯◯ちゃん大っ嫌い!◯◯ちゃん大っ嫌い!
・・・
父:兄も嫌な思いをしたんだから、悪口は5回位は言ってもいい。だけど、おもちゃは元通りになったんだし、10回以上、いつまでも悪口を言い続けるのは良くない。
兄:やだ!パパのいじわる!
父:意地悪じゃないよ。もし、兄が大人になった時に、誰かの悪口をずっと言っていたらどうなるか知ってる?
兄:知らない。
父:じゃあ教えてあげよう。大人がずっと誰かに悪口を言い続けていると、おまわりさんに捕まっちゃうことだってあるんだよ。ほら、こないだだってテレビで、近所の人に悪口をずっと言っていたおばさんが捕まっちゃったニュース見たでしょ。
兄:そんなのあったね。
父:で、パパは兄が大人になった時におまわりさんに捕まってほしくないから、注意してるんだよ。兄だっておまわりさんに捕まったら嫌でしょ?兄が嫌な思いをしないで済むように、こうやって注意してるんだよ。だから意地悪じゃなくて、どちらかというと優しいことをしてるんだよ。
兄:そうなんだ。
と、こんな感じに話を展開していくと、彼の場合は納得しやすいようです。状況がもう少し込み入っていたり、言葉だけでは子どもにとって理解しにくい場合には、ノートに絵を描きながら説明します(コミック会話という手法です)。
ちなみに、どうやらこのような不思議な勘違いはアスペルガー症候群の人には比較的多く見られるもののようです(人によって勘違いの内容は異なります)。以下の本のシリーズには、ニキ・リンコさん(成人してからアスペルガー症候群と分かった女性)のいろいろな勘違いエピソードが綴られています。
告知
わたくし荒川はクエストスクールという家庭教師の会社の共同代表を務めております。個性を自立力にするための授業計画を実施していきます。
この記事のような、親子のコミュニケーションについても対応しております。どうぞよろしくお願いいたしします。