アンパンマンは焼きたてが最強:子どもとテレビを見てるときに父が考えた裏設定8コ
子どもを育てていると、アンパンマンの鑑賞が必須科目になります。大人の視点でアンパンマンを鑑賞すると、子どもの時には考えなかったムダなことを考えることになります。今回は私の脳内で生成されたアンパンマン世界の裏設定についてご紹介します。
アンパンマンは焼きたてが最強
アンパンマンは焼きたての時が心身ともに最強だ。なぜなら、ジャム男とバタ子が焼いて間もない顔に交換されたアンパンマンは、バイキンマンにハメられることもなければ、バイキンマンを仕留めそこねることもない。頭も体も最高のパフォーマンスを発揮してくれる。
アンパンマンの顔には賞味期限がある
アンパンマンには賞味期限がある。パンなのだから当たり前だ。できたての時はおいしくて、体は強く頭脳も明晰。賞味期限が迫ってくると、硬くなったりカビが生えかけたりして力がでなくなるし、頭の回転も鈍くなる。
寒い冬なら運が良ければ1週間位は頭を交換なしで大丈夫かもしれないけど、暑さの厳しい夏場は毎日取り替える必要があるだろう。彼がパトロールするのは、「直射日光の当たらない涼しい場所」とは真逆の場所なのだから。そう考えると、話の序盤でアンパンマンがバイキンマンにやられやすい理由は、話を盛り上げるためではなくアンパンマン自身のコンディションが原因になっていると考えたほうが話に入り込める。
日頃からヘルメットをかぶっていないのにも事情がある
アンパンマンは自分の頭部を水から守る努力をしていない、脇が甘い、と批判されることがある。しかしアンパンマンの強さが賞味期限に関係していると考えると、彼がなぜ日頃からヘルメットをかぶって頭部がぬれることを防いでいないのか想像することができる。
パンは日が当たる場所でビニールに入れておくと、パン自体の湿気によってビショビショになってしまうのだ。ビショビショになれば味わいは損なわれ、カビが生えやすくなる。アンパンマンは、毎日あれだけ外を飛んでパトロールしているのだから、透明なヘルメットと直射日光は相性が悪い。彼が頭部を守る透明なヘルメットを日頃から被っていないのは、パンの宿命によるものだといえる。
しっとりモチモチは期待しないで
アンパンマンのピンチの際に、ジャム男が新しく顔を作るときには、小麦粉を一から練るところから始めている。ということは、パン生地を酵母の力で十分に発酵させていないことになる。従って、アンパンマンから顔の一部を分けていただく際には、生地のしっとりモチモチ感を期待してはいけない。
ジャム男はサイエンティスト
ジャム男を人造人間(アンパンマンとか)を作る博士という見方をすると、アンパンマン世界は近未来の地球の姿のように見えてくる。この世界では、アンパンマンを始めとする「食べれる人造人間」たちが食物や生活必需品を無償で供給しているので、動物たちはほとんど働かないで済むのだ。あくせくしないで、のんびり自然の中で暮らす。そんな世界の懸念材料は、穏やかな世界に退屈してしまった人(バイキンマン)の扱いである。どんなユートピアにも問題は生じる。
アンパンマンには偏見がない
アンパンマンが毎度のことバイキンマンにダマされるのは、過去の失敗から学習しないということではなく、バイキンマンを色眼鏡を通してで見ていないというふうに考えたほうが、視聴者としてストレスがたまらない。
バイキンマンを有効活用して!
バイキンマンは、ネグレクト(育児放棄)を受けて、さらにサヴァン症候群(発達障害があって、特定の分野で天才的)であるという設定と捉えるとしっくりくる。天才的な発明をしながら、対人的な振る舞いに関しては非常に幼い点がある。まさに愛着障害&発達凹凸。彼の好みと特性に合った適切な教育と、温かい家庭環境が与えられれば、アンパンマンの住む世界は今よりもずっと平和でかつ刺激的なものになるだろう。あの世界が退屈なユートピアであることから卒業するためには、バイキンマンの力を有効活用することが必要なのだ。古代ローマで平和を維持するために「パンとサーカス」を必要としたのと同じように、アンパンマンの世界にも安全なスリルが求められている。
バイキンマンは「恵まれない子ども」の姿
バイキンマンは恵まれない子どもを体現していると考えて作品を鑑賞すべきである。彼がやることは、おなかがすいた時に誰かの食べ物を奪うこと、退屈な時にイタズラをすることだ。彼には食べ物を与えてくれる大人もいなければ、かまってくれる相手もいない。そういう子どもが自分自身の欲求に従うとどう行動することになるのか、そして周囲からどのような扱いを受けることになるのか。アンパンマンの世界を、私たちの世界の縮図として捉えると身に詰まらされるものがある。