子どもの約束力を育てるために、親は日頃から約束の先払い・後払いに注目すべし
親は子どもに部屋を片付けて欲しい、子どもはそのまま遊んでいたい。親は勉強の課題を片付けて欲しい、子どもはそのまま遊んでいたい。他にも「子どもはやりたがらないけど、長い目で見たときに少しずつでもやって欲しいこと」は日常の中にたくさんあります。そのような状況をうまく利用していくことによって子どもの約束力を育てていけるかもしれません。
親の「約束の先払い」の例
例として次のような、親の「約束の先払い」が頻繁にある場合、なかなか約束を守ることができにくくなります。子どもの年齢は小学校低学年くらいと設定しています。
(外から子どもが帰ってきた時に)
親:部屋の片付けをしてくれる?
子:このゲームをやってからね
親:え?!何日も前から片付けてと言ってるんだから先に片付けてよ。
子:(怒り出す)ヽ(`Д´)ノ
親:仕方ないわね。後でちゃんとやるのよ。
(数時間後)
子:眠くなってきた。おやすみー。
親:え?!片付けしてないでしょ?!
子:明日やるよー。
親:・・・
このようなやり取りが何回か続いている場合、親としては約束を破られているのですから良い気分ではないですし、子どもの「約束を守る力」を損なうという意味でも好ましくない状況と言えます。親が「約束の先払い」をできるほどには、この子の約束を守る力は育っていないといえます。
子どもの体が大きくなって力が強くなってくると、女性の親御さんの場合は「子どもを怒らせるのが怖い」と感じることもあるかもしれませんので、いろいろと工夫が必要になるかもしれません。上記はあくまでも、比較的低年齢の子どもへの対応例です。
親の「約束の後払い」の例
一方、まだ十分に約束力が育っていない子どもに対応する場合、親は「約束の後払い」をすることが有効になります。
親:部屋の片付けをしてくれる?
子:このゲームをやってからね
親:え?!何日も前から片付けてと言ってるんだから先に片付けてよ。
子:(怒り出す)ヽ(`Д´)ノ
親:ダメ。何日も「やるやる」って言ってやってないんだから今からやりなさい。
子:やだーー!!ヽ(`Д´)ノ
親:片付けをやらないんだったら、ゲームもやらせません。片付けが終わるまでゲームは預かっておきます。(片付けが終わるまでゲームができないようにする)
子:(しぶしぶ片付け始める)
(数分後)
子:片付け終わったよ。
親:確かにできたね。それじゃ、約束通りゲームやっていいよ。
子:ゲームやろー。(`・ω・´)
先払いする場合は「担保」をとっておく
我が家でも【どうしても「先に遊びたい」と訴えるとき】があります。そのような時の対応としては以下のような方法があります。
子:やだー、先に遊ぶー!!ヽ(`Д´)ノ
親:ダメ。
子:やだー、先が遊ぶー!!ヽ(`Д´)ノ
親:ダメ。
(上記の問答が何度か繰り返される)
親:わかった。それじゃあ、先にやっていいよ。ただし、何時何分になったら片付け始めるか決めなさい。
子:◯時◯分
親:それじゃあ◯時◯分になったらゲームをやめて、片付けしてね。もし片付けをしなかったら、次からは「先に遊ぶ」のはナシにします。わかった?
子:わかった。(`・ω・´)
(約束の時間になる)
親:ゲームをやめて片付ける時間になったよ
子:わかったー。(ゲームをやめて片付け始める)
↑このように「担保をとっておく」やり方をすると、親が約束の先払いをしても子どもが正しく約束力を育てて発揮してくれる可能性が高まります。もし、子どもの約束力が十分に育っていると判断できるようになったら、担保をとる必要もなくなっていくでしょう。
以前書いた記事に、約束と発達障害に関するものがあります。
財産としての約束力(信用力)
約束力は人の財産だと私は考えています。改めて振り返れば、私達が日頃当たり前に使っているお金だって、「この紙や金属には、数字分の価値が備わっている」という信用があるから流通しているわけです。世界にはお金の信用が全くなくなってしまって社会が混乱に満ちて、安心安全に暮らせない場所だってあります。
日本円の信用を突き詰めて考えると、日本に生活している私達一人ひとりがちゃんと約束を守れることによって保たれている側面もあると言えます。子どもたちが大人になって生活するであろう将来の世界を安心安全にしていくためにも、日頃の約束力に関する教育は大切なのです。